僕がマーサ・ナカムラの詩を読んだのは、読み手として信頼している荒川洋治さんが褒めていたからだ。もうずいぶん前、ある文芸誌に短篇の連作をしていたころ、荒川さんが地方紙の文芸時評(だったとおもう)で取り上げて、褒めてくれた。
それ以来、僕は荒川さんに勝手に好印象を持ち、読み手として信頼を置くようになった。そう。僕は単純な男である。その人が、マーサ・ナカムラの『狸の匣』(たぬきのはこ)という詩集を褒めていた。これは読まねばならない。
僕はさっそく取り寄せて読んでみた。おもしろい。マーサ・ナカムラは、どうやら若い女性らしい。若い詩人の詩集を読んで、おもしろい、とおもうことは、あまりない。最近だと山田亮太の『オバマ・グーグル』がおもしろかった。 続きを読む
