書評『ウインストン・チャーチル』――不屈の政治家の劇的な生涯

ライター
小林芳雄

逆境を追い風に変える

 本書は生誕150周年を迎えたイギリスの政治家ウインストン・チャーチルの評伝である。
 チャーチルといえば、第二次世界大戦でヒトラー率いるナチス・ドイツを打ち負かし、連合国を勝利へと導いたイギリスの宰相として名高い。さらにその才能を多方面で発揮した人物で、歴史的な演説を幾度も行い、ノーベル文学賞を獲得した文筆家でもある。40歳から趣味で始めた絵画は芸術家からも賞賛される数多くの作品を生み出した。またレンガ職人という顔という意外な一面も持つ。
 しかし、その華やかな業績の裏には多くの苦闘があった。チャーチルほど人生の毀誉褒貶を味わった人もまれであろう。 続きを読む

『摩訶止観』入門

創価大学大学院教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第86回 正修止観章㊻

[3]「2. 広く解す」㊹

(9)十乗観法を明かす㉝

 ⑥破法遍(14)

 (5)中道正観の破法遍③

 ③正しく中観を修す

 次に、第三段の「正しく中観を修す」段について説明する。中観は正面から無明を破るものである。最初の空観は真(空)を観察するものであり、次の仮観は仮を観察するものである。仮観は、ただ空の智慧を観察して、不空にさせ、一心において万行を一つひとつ指し示し、法眼を生じて、くまなく薬と病を知るので、仮観と名づけるとされる。空観と仮観の二観が惑を破るとき、これを智と名づけるが、今、中道をながめると、二観の智慧(二諦の智慧)は逆に惑になってしまう。この惑は中智(中道の智)を妨げる智障となると示される。 続きを読む

東京の〝現在〟と〝未来〟を守る 都議会公明党の施策2

東京都議会議員/都議会公明党幹事長
東村くにひろ

 東京都議会議員選挙にむけて「都議会公明党」が掲げる政策や実績について、月刊誌『第三文明』7月号に掲載された東村くにひろ都議会議員(都議会公明党幹事長)のインタビューを掲載いたします。

 東京都議会議員選挙に向けて、都議会公明党では重点政策「家計応援計画」を掲げています。この政策は物価高騰に直面する都民の皆さまに安心と希望をお届けすべく、4つの柱から成っています。

 第1の柱、物価高に「負けない」東京へ――では、「アフォーダブル住宅の供給」「シルバーパスの値下げ」「都公式アプリでのポイントの付与」などを実施します。
 第2の柱、現役世帯の「所得が増える」東京へ――では、今後5年間で平均年収を200万円引き上げるための賃上げとセットで中小企業支援の取り組みを行います。
 第3の柱、「安全・安心」な東京へーでは、防犯機器の購入費助成や豪雨災害への備えを進めていきます。
 第4の柱、教育負担が「かからない」東京へ――では、子育てにお金がかからない「子どもベーシックサービス」の導入を目指します。
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東京の〝現在〟と〝未来〟を守る 都議会公明党の施策1

ライター
松田 明

 東京都議会議員選挙にむけて「都議会公明党」が掲げる政策や実績について、月刊誌『第三文明』7月号に掲載された松田明氏の寄稿を掲載します。

公明党の原点

 来たる6月13日に告示、22日に投開票日を迎える東京都議会議員選挙。1400万人超が暮らす日本の首都の「次の4年間」を決める重要な選挙であり、7月の参院選の前哨戦として各党も国政選挙並みに力を入れている。
東京都議会は、公明党にとって1955年に初めて議席を獲得した〝原点〟でもある(当時は無所属)。1965年6月には、汚職にまみれ「伏魔殿」と呼ばれていた議会をリコール解散に追い込んだ。60年たった今も都議選がこの時期に実施されるのは、公明党が政界浄化に挑んだ爪跡だ。
 都議会公明党はキャスチングボート(政策決定権)を握る議席数を基盤に、他党の追随を許さない「現場力」「政策実現力」で「公明党は、いつも私たちが知らない現場の声を吸い上げてくる」(小池都知事)と言わしめる結果を出してきた。児童手当やDMAT(災害派遣医療チーム)の創設、私立高校授業料の実質無償化など、公明党が推進して東京都で実現し、全国へと波及した政策は数多い。 続きを読む

大衆福祉を貫く公明党への期待

日本大学教授
末冨 芳

 混迷する現代政治において、公明党が果たすべき役割は何か――。月刊誌『第三文明』7月号に掲載された日本大学・末富芳教授のインタビューを掲載します。

温かく迅速で毅然とした行動

――公明党と接点を持つようになったきっかけは?

末富芳 2019年、政府が幼児教育・保育の無償化を導入するにあたり、公明新聞の取材を受けたのが始まりです。当時、所得制限を設けるか否かが議論の的になっていました。そこで私は、「保育・教育を受ける権利は子ども自身のもので、保護者の所得で差別されるべきではない」と述べたのですが、公明党の奮闘によって3~5歳児は所得制限なし、0~2歳児は住民税非課税世帯を対象とするもの、今後対象の拡大を目指していくという形で無償化がスタートしたのです。 続きを読む