連載エッセー「本の楽園」 第4回 エリック・ホッファーという生き方

作家
村上政彦

 近代人の典型的な生き方は、学校で学んで、会社で働くことだ。しかし、近年になって学び方と働き方には選択肢が増えてきた。その気になれば、学校や会社という組織に属さないで、学び、働くこともできる。エリック・ホッファーは、そういう生き方の先駆的な存在だったのかもしれない。 続きを読む

歴史に学び志を持って生きる

萩博物館特別学芸員/至誠館大学特任教授
一坂太郎

 混迷する時代を生き抜くために、歴史から学ぶべきこととは何か。

学びの力に着目

 教育には人間や社会を変える力があります。歴史をひもとくと、学びの力によって世のなかを変えていった人物や集団の足跡をいくつも見つけることができます。明治維新の原動力となった幕末の長州藩もそうした好例の一つです。 続きを読む

アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所で何があったのか――映画『サウルの息子』

ライター
倉木健人

「ゾンダーコマンド」という仕事

 無名の新人監督の作品にして、2015年カンヌ国際映画祭でいきなりグランプリを獲得した、いま世界中の映画関係者にもっとも注目されている映画である。 続きを読む

今こそ庶民の力で両国関係を動かす時――書評『日本と中国の絆』

ライター
青山樹人

〝相手の側の気持ち〟を考える

 著者の胡金定氏は甲南大学教授。1956年、中国・福建省生まれ。国立厦門大学を卒業後、世界銀行の奨学生となって日本に留学し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程を修了した。日本暮らしは既に30年余、人生の半分を超えている。
 本書(『日本と中国の絆』)は日本と中国の文化の比較研究を続けてきた胡さんが、日常の生活習慣や文学作品、あるいは歴史上の人物の逸話などを通し、両国のかかわりを読み解いたエッセイ風の論考集である。 続きを読む

不確実な時代の「うわさ」と個人の関係を考える

中央大学教授
松田美佐

 人々はなぜ「うわさ」を好み広げるのか。「うわさ」は私たちの暮らしに、どのような影響をもたらすか。人間や社会を「うわさ」から読み解く。

「うわさ」は最も古いメディア

 もともと大学で社会心理学を学んでいた私は、メディアの仕組みや人間のコミュニケーションに興味があり、自然と「うわさ」の持つ特性に関心を抱くようになっていました。
 人間が手にした「最も古いメディア」と呼ばれるうわさは、新聞やテレビが普及しようとも、携帯電話やインターネットが世界中で利用される時代が訪れても、いまだに廃れることなく存在し続けています。 続きを読む