連載エッセー「本の楽園」 第21回 ぶんがくが すき

作家
村上政彦

 これまで文学は、よく危機を主張してきた。危ない、といって、注目をあつめては延命する。だから、語られるところの文学の危機は、文学の内部の事情に由来していた。ところが、最近になって、延命の手段としての危機とはちがったほんとうの危機がきている。
 よくいわれる出版不況による読者の減少は、僕から見れば、それほど問題ではない。減少とはいっても、ある程度のコアな読者はいる。 続きを読む

書評『GRIT やり抜く力』――話題のベストセラーを読む

ジャーナリスト/編集者
東 晋平

大事なことは「才能」ではなく「GRIT」

 「GRIT(グリット)」という言葉は、「レジリエンス(折れない心、復元力)」などとともに、近年の米国教育界、さらにビジネスやスポーツ界で重要視されてきた。GRITは歯をギリギリと噛みしめる音の擬音語で、まさに「やり抜く力」を意味している。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第20回 放哉のミニマルライフ

作家
村上政彦

 ミニマリズムという言葉がある。もとは芸術の分野で使われていたが、最近は簡素で質朴な生活の試みを指すこともあるようだ。衣食住にわたって、不要なものを削ぎ落とし、極めてシンプルな暮らしを送る人々をミニマリストというらしい。 続きを読む

「野党共闘」という矛盾――理念なき数合わせに高まる批判

ライター
松田 明

露呈した「共闘」の限界

 民主党政権が崩壊し、自民党・公明党の連立による第2次安倍内閣が発足してから、この2016年10月26日で1400日、ちょうど200週間を経た。民主党政権が3人の首相を足して171週間だったから、これをすでに大きく上回っている。 続きを読む

偽史「江戸しぐさ」を推進する問題点とは何か

歴史研究家/偽史・偽書専門家
原田 実

捏造にまみれた「江戸しぐさ」

「江戸しぐさ」という言葉を耳にしたことのある方は少なくないと思います。江戸しぐさ普及の中心的役割を担ってきたNPO法人江戸しぐさでは、譲り合いの精神で気持ちよく交流するための「江戸商人の行動哲学・マナーが江戸しぐさ」であると定義しています。
 しかしその一方で、江戸しぐさはすべて口伝であるため、古い文献や証拠などは一切残されていないとしています。 続きを読む