江戸時代」タグアーカイブ

偽史「江戸しぐさ」を推進する問題点とは何か

歴史研究家/偽史・偽書専門家
原田 実

捏造にまみれた「江戸しぐさ」

「江戸しぐさ」という言葉を耳にしたことのある方は少なくないと思います。江戸しぐさ普及の中心的役割を担ってきたNPO法人江戸しぐさでは、譲り合いの精神で気持ちよく交流するための「江戸商人の行動哲学・マナーが江戸しぐさ」であると定義しています。
 しかしその一方で、江戸しぐさはすべて口伝であるため、古い文献や証拠などは一切残されていないとしています。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第13回 休日の読書

作家
村上 政彦

 もともと勤勉な性格ではない怠け者なのに、貧乏暇なし、で働き過ぎたので、静養の日をもうけることにした。といっても、プライベートジェットで保養地に出掛けたり、五つ星ホテルで豪華なランチを取ったりはできない。身の丈に合った過ごし方をする。
 まず、昼近くまで寝て、たっぷりと睡眠を取る。起きたら、昨夜、妻に頼んでおいたので風呂が沸いている。湯の量は多めにしてある。浴槽につかったとき、溢れるぐらいが気持ちいいのだ。 続きを読む

【コラム】日本の中華街はなぜ生まれたのか――近代日本の黎明を支えた華僑たち

ライター
青山樹人

なぜ横浜、神戸、長崎にあるのか

 横浜中華街、神戸南京町、長崎新地中華街は、日本に存在する三大中華街だ。美食で有名な店も多く、いずれの都市でも地元を代表する観光スポットとなっており、近年では海外からやってくる旅行者にも人気が高い。とくに横浜中華街は、世界屈指の規模を持つチャイナタウンである。
 しかし、なぜこの3つの都市に中華街が存在するのか考えたことがあるだろうか。 続きを読む

【コラム】「葬儀と坊さん」という発明――徳川幕府が骨抜きにした日本の仏教

ライター
青山樹人

〝民衆支配〟のための宗教政策

 最近は葬儀のかたちも少しずつ自由になりつつあるというが、それでも人が亡くなったら坊さんが来てお経をあげるというのは、日本社会で想定されているスタンダードな葬儀のスタイルだろう。
 日頃は「無宗教」を名乗っているような人でも、葬儀を僧侶にゆだねることには抵抗がない。そして、ほとんどの人は、それが仏教の教えに基づいたものであり、日本の古い伝統だと思い込んでいる。 続きを読む