語り部バス~未来の命を守りたい~
ゆっくりと動き始めたバスに向かって、ホテルスタッフたちが口々に呼び掛ける。「いってらっしゃーい」「しっかり学んできてくださいねー」。つられるように乗客たちもバスの窓越しに手を振って応える。「はーい、いってきまーす」「うんと学んできますね」――。東日本大震災後、宮城県南三陸町の志津川湾を望む高台に立つ「南三陸ホテル観洋」の玄関口で、毎朝見られる光景である。
バスに乗り合わせているのは、前日からのホテル宿泊者たち。これから1時間近くをかけて、骨組みだけとなった旧防災対策庁舎や被災直後の姿をほぼそのまま残す高野会館など、震災遺構と復旧復興工事の最前線現場を見て回る。案内するのは、自宅を津波で流されるなど自らも被災者となった同ホテルのスタッフと地域の住民たち。「語り部」として日替わりで乗車し、あの日の体験と教訓を語り伝える。 続きを読む







