西東京市長選挙と共産党―糾弾してきた人物を担ぐ

ライター
松田 明

前哨戦にされた市長選挙

 さる2月7日、投開票が行われた西東京市長選挙。自民党、公明党が推薦した前副市長の池沢隆史氏が、市政の継続と安定を訴え、接戦を制して当選した。
 日本共産党、立憲民主党、生活者ネットワークなどは、2018年まで神奈川県の逗子市長だった平井竜一氏を担ぎ出したが敗れた。
 翌々日の『朝日新聞』は平井氏について、

市と縁もゆかりもなかった候補(「朝日新聞デジタル」2月9日

と形容し、

敗れた平井陣営は、無所属に加え、立憲民主、共産、西東京・生活者ネットワークの市議12人が支える「野党統一候補」として、国政選挙を占う構図で戦った。逗子市長12年の手腕を見込んで平井氏に出馬を頼み込み、「ヘッドハンティングしてきた」と街頭で訴えた。(同)

と報じている。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第112回 支えてくれる本

作家
村上政彦

 僕は小説に救われた。小説がなかったら、いまの僕はない。これは本に救われたということでもある。本がなかったら、いまの僕はない。
『病と障害と、傍らにあった本。』は、文字通り、病や障害をかかえながら、本に支えられ、救われた人々のエッセイを収録している。
 感音性難聴、潰瘍性大腸炎、筋ジストロフィー、全身性エリテマトーデス(膠原病)、鬱病、てんかん、双極性障害、脳梗塞による高次機能障害、原田氏病、頸髄損傷の妻の介護をする夫、ALSの母親の介護をする娘――いずれも当事者にしか分からない苦しみをかかえた人々の言葉が並んでいる。
 僕も家族に障害者がいるし、自分にも持病があるので、少しは執筆者の気持ちが分かるつもりだ。
 先日、勤務している大学の、今期の最終講義で、この本から、岩崎航という詩人のエッセイを取り上げた。岩崎は1976年に宮城県で生まれた。3歳のころ、筋ジストロフィーを発症する。 続きを読む

「共産党偽装FAX」その後―浮き彫りになった体質

ライター
松田 明

ピタリと止まった意見FAX

 日本共産党の大阪府幹部(阪南地区委員会副委員長)が、公明党支持者に成りすまして10数人の公明党大阪市議に「広域行政一元化条例への反対」を要求する偽装FAXを送り付けていた事件。
 公明党市議がツイッターに現物の画像をアップし、波紋が広がりはじめると、共産党阪南地区委員会はホームページ上に〈公明党大阪市議への「要望書」の送付について〉(3月21日)という「声明」を発表。この偽装工作をやったのが矢野忠重副委員長(当時)であることを認めた。
 この矢野忠重氏は過去25年間、泉大津市長選挙、大阪府議会議員選挙、3回の衆議院議員選挙に、いずれも共産党の推薦/公認として立候補している人物。
 ことと次第では衆議院議員になっていた共産党の地元の〝大物〟が、他党の「40年来の支持者」を詐称し、10数人の議員に宛てて〝賛成したら今後一切投票しない〟と脅して、議会での採決を曲げるように迫っていたわけである。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第111回 バイトやめる学校

作家
村上政彦

 僕は小説家としてデビューするまで、かなりいろいろなバイトをやった。雇うほうはバイトだとおもっていないかもしれないが、働いている僕は、小説を書くために生活費を稼いでいるのだから、それは正業ではなく、バイトでしかなかった。
 だから、数日でやめた仕事もあったし、やりだしたらおもしろくて1年半続いた仕事もあった。
 小説家としてデビューして、編集者から「3年頑張れば専業作家になれる」といわれた。まだ出版業がなんとか成り立っていた33年前のことである。いま作家デビューすると、編集者は最初に、「仕事を辞めてはいけない」と助言する。これは出版界の現在を見れば、当然のことだ。
 好きなことを仕事にして、生活費を稼いで生きていくことは、誰もが見る夢。しかし夢を現実にするのは、そーとー難しい。僕の場合、小説を書くことと、そこから発生することが仕事になっているので、夢を叶えているといっていい。感謝をささげる人がいれば、素直に感謝したい。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第110回 小川洋子の小説

作家
村上政彦

 僕は1987年に福武書店(現ベネッセ)主宰・『海燕』新人文学賞をもらって作家デビューした。同時受賞者が吉本ばななだった。その数回あとの受賞者に小川洋子がいた。当時、お世話になっていた編集者の寺田博さんが、ある文壇酒場で、「ダイヴィングプール」という短篇を褒めていた。
 僕はそれで小川洋子という作家を知ったのだが、何かのパーティーで遠くから見かけただけで、面識はない。それでも僕が信頼している編集者が褒めていたこともあって、ずっと注目していた。
 彼女はやがて芥川賞を受けて、ベストセラーも出し、人気作家となった。最近では国際的な文学賞の候補にも名を連ねている。『海燕』新人賞の同窓としては(彼女はそうおもっていないかもしれないが)、慶祝である。 続きを読む