女性の身体感覚を、的確な文体で描き切る
小川洋子著/第104回芥川賞受賞作(1990年下半期)
現代社会の〝生の希薄さ〟
第104回芥川賞の受賞作『妊娠カレンダー』は、タイトルから想像されるように、妊娠を題材とした観察日記形式の小説だ。だが、そこで描かれている妊娠には、祝祭的要素は何もない。新しい生命が誕生する感動も喜びもない。代わりに、妊娠という原始的で奇妙な生理現象に対する不安と恐れ、そして嫌悪のようなものさえ感じる。 続きを読む
小川洋子著/第104回芥川賞受賞作(1990年下半期)
第104回芥川賞の受賞作『妊娠カレンダー』は、タイトルから想像されるように、妊娠を題材とした観察日記形式の小説だ。だが、そこで描かれている妊娠には、祝祭的要素は何もない。新しい生命が誕生する感動も喜びもない。代わりに、妊娠という原始的で奇妙な生理現象に対する不安と恐れ、そして嫌悪のようなものさえ感じる。 続きを読む
4月25日に投開票された3つの国政選挙は、いずれも野党系候補が当選した。
まず、元農水相(自民党を離党)が在宅起訴された衆議院・北海道2区の補選では、自民党が候補擁立を見送り。野党統一候補(国民、社民、共産道委員会推薦)となった立憲民主党の元職が、維新の候補らを破って当選した。
立憲民主党の参議院幹事長だった羽田雄一郎氏の急死に伴う参議院長野補選では、立憲民主党が羽田氏の実弟を擁立(共産、国民民主、社民推薦)。事実上の「弔い合戦」となり、自民党の候補(公明推薦)を破って当選した。
公職選挙法違反で有罪が確定した河井案里氏の当選無効による参議院広島再選挙では、「政治とカネ」をめぐる有権者の憤りと不信感が根強く、諸派「結集ひろしま」新顔の元キャスター(立憲、国民、社民推薦)が自民党の新人(公明推薦)を破って当選している。 続きを読む
知人の精神科医と話をしていたら、新型コロナウイルスが話題になって、彼は、この4、5年は、いまのような状態が続くだろう、もし、ワクチンが世界的なパンデミックを鎮静化させても、僕らは、新型コロナウイルスが現れる前と同じ生活に戻ることはできないだろう、と言っていた。
僕は、彼の言い分を聴きながら、これから僕らはどこへ向かえばいいのかを考えていた。そのとき、手に取ったのが、見田宗介(みた・むねすけ)の『現代社会はどこに向かうか』だった。この本が書かれたのは、2018年だから、まだ新型コロナウイルスの影もない。しかし彼の思索は、厄介なウイルスと一緒に生きなければならない僕らにとっても、とても役に立つと思う。 続きを読む
東京都品川区立の小中学校で、この4月から女子トイレに無償の生理用品の設置がはじまった。
これは防災備蓄用品のひとつとして区が保管していたもののうち、交換期限が近づいているものを有効活用したもの。
世界的にも〝生理の貧困〟への啓蒙と取り組みがはじまっているなか、3月18日に公明党の伊藤こういち都議と品川区の公明党女性区議たちが品川区の濱野健(はまの・たけし)区長に申し入れしたことがきっかけだった(「コレカラしながわイノベーション」3月19日のツイート)。
この品川区の取り組みは各メディアでも大きく報道された。 続きを読む
辻原登著/第103回芥川賞受賞作(1990年上半期)
第103回の芥川賞は、辻原登の『村の名前』が受賞した。168枚。辻原は、22歳の時に本名(村上博)で文藝賞の佳作を受賞したが、その後はいったん会社勤めに。40歳のときに再度小説を書き始め、44歳で芥川賞受賞となった。
47歳で会社を退職し、以降は執筆に専念し、読売文学賞、谷崎潤一郎賞、川端康成文学賞、大佛次郎賞、毎日芸術賞、司馬遼太郎賞など、実に多くの文学賞を受賞している。
『村の名前』の舞台となっているのは、中国の「桃源県桃花源村」という村。まさに、陶淵明(とうえんめい 365-427年 中国の文学者)の小説から生まれた桃源郷を彷彿とさせる〝村の名前〟だ。 続きを読む