石戸諭の新著『ニュースの未来』を読み終えて、鷲田清一の式辞集を思い出した。
哲学者の鷲田清一は、2007年から11年まで大阪大学総長を、15年から19年までは京都市立芸術大学の理事長・学長をつとめている。
その彼の学長としてのキャリアの最後となる式辞。すなわち2019年3月におこなわれた京都市立芸術大学卒業式で、鷲田は宮沢賢治の言葉について語った。
まず有名な《世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない》に触れ、《職業芸術家は一度亡びねばならぬ》と《産者(創る人)は不断に内的批評を有(も)たねばならぬ》のふたつの言葉を挙げた。 続きを読む






