特集⑩ 山崎正友、転落の始まり――腐敗した宗門に接近する

ライター
青山樹人

妙信講の異常な主張

 大恩ある創価学会とその指導者に対し、あろうことか不満や敵意を抱きはじめた日蓮正宗の出家たち。
 この宗門内部の微妙な変化を最大限に利用したのが、のちに創価学会を恐喝して懲役3年の実刑判決を受け服役した山崎正友である。
 山崎は、1970年から学会の顧問弁護士を務めていた。
 じつは大石寺に正本堂の建設が進んでいたこの時期、日蓮正宗内に厄介な問題が起きていた。
 当時、ごく少数の組織ながら独自の「講」として宗内に存在していた妙信講なる一派が、憲法を改正し、国会の議決をもって建設される「国立戒壇」こそが日蓮大聖人の遺命であると主張しはじめたのである。
 正本堂を「本門戒壇」と意義づけたのは、創価学会ではなく日蓮正宗である。
 1965年9月12日、宗務院は「大聖人の御遺命にしてまた我々門下最大の願業である戒壇建立、広宣流布のいよいよ事実の上において成就されることなのであります」との「院達」を宗内に発している。
 日蓮正宗が出した供養の趣意書にも「正本堂建立は実質的な戒壇建立」と明記されていた。
 だからこそ、予想の10倍を超える355億円という供養が集まったのである。その98%以上は創価学会員によるものだった。

カルト化して顕正会となる

 このとき、妙信講もまた「千載一遇のご奉公」「私たちの生涯に二度とはない大福運」等と講内に檄を飛ばして供養を呼びかけている。
 1969年1月に本山で開かれた第1回寺族指導会で、日達は「池田大作先生の大願によって本門戒壇がまさに建たんとしているわけです」と述べた。同様の法主見解は69年3月の宗門誌『大白法』にも登場する。
 ところが1970年になると妙信講は主張を180度変え、「本門戒壇」はあくまで国費で建設されるべきなどと言いはじめた。すべては妙信講の中心者の池田会長への嫉妬であった。
 彼らは急速にカルト化し、自己の主張を通すためには流血の事態も辞さないと脅迫。実際に創価学会本部に街宣車で突入して、実行犯らが警視庁に逮捕されるという異常行動にまで及んだ。
 たび重なる反社会行為と独自路線の先鋭化によって、74年、日達は妙信講を破門し、講中解散処分とした。
 その後、彼らは顕正会と名称を変え、自分たちの会員数を増やさなければ「大地震が起きる」「外国が攻撃してくる」等といった終末思想を叫ぶ奇怪な教団に変貌していく。
 各地で高校生らを強引に勧誘するなどし、暴行事件や監禁事件を起こして会員が逮捕される事態を繰り返している。各地の教育委員会でも警戒を強め、マス・メディアもたびたび顕正会の危険な実態を報道してきた。2006年には公安調査庁のまとめた「内外情勢の回顧と展望」でも、オウム真理教などと並んで顕正会は危険な「特異集団」として取り上げられている。
 山崎正友は弁護士として、この妙信講問題への対処などで頻繁に宗門と接触するようになっていった。
 そして、宗門の僧侶たちが広宣流布などいささかも真剣に考えていないばかりか、あきれるほど社会性がなく、信心の実力がない故に〝僧衣の権威〟で信徒を見下し、俗よりも金と欲にまみれている実態を知っていくのである。
 山崎が信仰心を完全に失い、策を弄して宗門中枢に接近し、学会首脳に隠れて私利私欲を貪るに至るには、そう時間のかかることではなかった。

土地ころがしで得た暴利

 1975年頃からは、山崎は富士宮に建設される墓園をめぐり、工事を受注した業者から密かにリベートを受け取ったり、ダミー会社を使った土地転がしによる差益を得たりして、計4億5000万円もの金を不当に手に入れた。
 山崎はこの汚れた金で、赤坂のホテルニュージャパンに事務所を構え、酒も飲めないくせに銀座や赤坂で豪遊。さらなる一攫千金を夢見て冷凍食品会社の経営に乗り出すなど、一気に横道に逸れていった。
 この時期、山崎は自分の得た情報をもとに「本山派閥系図」なるものをつくって周囲に見せ、自分が宗門の内情に通じていることをひけらかしている。
 実際、旧態依然とした大石寺のなかには、封建的な閨閥主義があり、いくつかの〝有力派閥〟が互いを牽制し合っていた。
 妙信講破門の一件から、山崎は学会といえども立場は信徒団体である以上、宗門の権威には絶対服従するしかないだろうという考えを抱く。
 そして、学会に不満を持つ僧侶たちを焚きつけ、両者の関係をさらに悪化させたうえで、宗門の権威をもって学会を押さえ込む謀略を描くのである。自分は、その宗門に深く取り入って、水面下で実質的に創価学会を支配しようと考えたのだ。
 顧問弁護士でありながら、悪魔の所業であった。
 山崎は、学会の教学部長(当時)である原島嵩を抱き込み、池田会長を追い落として原島を次の会長にするか、それが無理なら学会を分断し、原島を「教祖」に据えて新しい教団をつくろうと考えはじめる。自分は表には立たず、教団を利用して陰で金儲けをする算段である。
 原島は、草創期の学会理事長の息子であった。本来なら、誰よりも自覚を持って人間革命に挑戦し、広宣流布のために師匠と同志に報恩していく立場であった。だが、原島は親の功績で皆から大切にされてきたことに甘え、そんな性根の弱さを山崎に見透かされて、酒や金ですっかりたらし込まれていた。
 山崎は原島を蛇蝎(だかつ)のように毛嫌いしながらも、来るべき日の「教祖」づくりに〝毛並みのよさ〟を利用しようと、小遣いをやって子飼いにしていたのである。
 すでに山崎にとって、宗教団体は完全に金儲けの道具としか映っていなかった。

※この記事は『最新版 世界広布新時代への飛翔』(青山樹人著/鳳書院)をベースに加筆修正したものです。

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あおやま・しげと●著書に『宗教はだれのものか』(2002年/鳳書院)、『新装改訂版 宗教はだれのものか』(2006年/鳳書院)、『最新版 宗教はだれのものか 世界広布新時代への飛翔』(2015年/鳳書院)など。WEB第三文明にコラム執筆多数。