特集② 創価学会は「地涌の教団」――立宗700年から流通広布の時代

ライター
青山樹人

戸田の出獄と核兵器の誕生

 1945年(昭和20年)7月3日、思想犯として囚われていた創価教育学会の戸田理事長は豊多摩刑務所を仮出獄。
 この2週間後の7月16日、米国ニューメキシコ州で人類初の原子爆弾の実験がおこなわれた。
 そして8月6日、9日と、広島と長崎に原子爆弾が投下され、日本は無条件降伏する。
 師の精神を受け継ぎ、広宣流布への闘争を期した戸田理事長は、翌年3月に会の名称を創価学会に変更した。
 第二次世界大戦という人類史に未曽有の大戦争の渦中に、核兵器という人類を滅亡させ得る魔物の誕生と軌を一にして、創価学会の本格的な広宣流布運動がはじまったことは、重大な意味を持っている。
 1951年(昭和26年)5月3日、戸田理事長は第2代会長に就任する。
 翌52年4月28日は日蓮大聖人の「立宗700年」にあたり、同じ日にサンフランシスコ条約が発効して日本は独立国となった。
 戸田会長は就任から逝去までのわずか7年の歳月で、願業として掲げていた75万世帯の折伏を成し遂げた。
 戸田の膝下にあって、その会長就任への道を開き、常に広布拡大の先頭に立っていたのが、若き日の池田大作SGI会長だった。
 戸田会長は、戦後の疲弊しきった日本社会のなかで、民衆に希望と勇気を与え、彼らを宗教の主人公として逞しく立ち上がらせていった。同時に、日蓮仏法を広宣流布していく責任に立って、日蓮正宗の蘇生を促し、その外護に努めた。

宗門の窮状を救った学会

 戦後、農地改革によって大石寺の経営は破綻寸前に追い込まれていた。登山(本山への参詣)する法華講信者もほとんどおらず、僧侶たちは自分たちの食糧を得るために農作業をしなければならないほどだった。
 宗門は、1950年(昭和25年)には富士宮市長や観光協会長らを大石寺に招き、大石寺に花見客など観光客用の宿坊を建てることを協議している。総本山を観光寺院化することで生き延びようとしたのだ。
 この信仰心を失った出家たちによる観光寺院化計画は、戸田会長の反対で中止となった。
 戸田会長は、宗門の窮乏を救うために「月例登山会」を発案した。学会員が供養を持参して大石寺に参詣することで、その経済を支えようと考えたのである。
 まだ戦後の食糧難や住宅難が続いていた時代である。社会全体も貧しく、なにより世間から「貧乏人と病人の集まり」と嘲笑された当時の学会には資金などなかった。
 それでも戸田会長は、学会の建物は後回しにして、大石寺の伽藍(がらん)を整備し、奉安殿、大講堂といった当時の最高水準の近代建築を建立寄進して寺域の荘厳に努めた。

戸田会長は「地涌の先達」

 1956年(昭和31年)から59年にかけて宗門の65世法主の座にあった堀米日淳は、1956年元旦に発表した『開宗704年を迎へて』で、次のように述べている。

将来の歴史家は、立宗700年以前は宗門の護持の時代とし、以後を流通広布の時代と定義するであろうと思われます

 日淳は、それまでの700年間を「宗門の護持の時代」と位置づけ、それ以後は創価学会による「流通広布の時代」だと表明したのである。
 日淳は戸田会長が逝去した直後の創価学会第18回総会(58年5月3日)の講演でも、創価学会の仏法上の意義について次のように述べた。

 法華経の霊山会において上行を上首として四大士があとに続き、そのあとに6万恒河沙の大士の方々が霊山会に集まって、必ず末法に妙法蓮華経を弘通いたしますという誓いをされたのでございます。その方々が今ここに出てこられることは、これはもう霊山会の約束でございます。
 その方々を会長先生が末法に先達となって呼び出されたのが創価学会であろうと思います。すなわち妙法蓮華経の5字7字を75万として地上に呼び出したのが会長先生だと思います。

 創価学会こそが、法華経に説かれた地涌の菩薩の出現であり、牧口・戸田という学会の指導者が地涌の先達であると述べているのである。
 1958年(昭和33年)桜花爛漫の4月2日、戦後の庶民に生きる希望と哲学を与えた戸田城聖は、自身のいっさいの願業を成就して58歳の尊い生涯を終えた。
 2年に及ぶ戦時中の苛酷な獄中生活は、戸田会長の健康を大きく損なっていたのである。
 学会が破竹の勢いで発展し、とりわけ1955年(昭和30年)に地方議会に53人の議員を、翌56年に参議院議員をも当選させたことを、世間は大きく注視していた。それだけにマスコミはそろって、戸田会長の逝去によって学会は空中分解するだろうと書き立てた。
 折伏によって檀家が激減していた既成宗教界はもとより、戸田の存在に戦々恐々としていた日蓮正宗宗門の堕落坊主のなかからは、安堵の声さえ漏れた。

※この記事は『最新版 世界広布新時代への飛翔』(青山樹人著/鳳書院)をベースに加筆修正したものです。

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あおやま・しげと●著書に『宗教はだれのものか』(2002年/鳳書院)、『新装改訂版 宗教はだれのものか』(2006年/鳳書院)、『最新版 宗教はだれのものか 世界広布新時代への飛翔』(2015年/鳳書院)など。WEB第三文明にコラム執筆多数。