投稿者「web-daisanbunmei」のアーカイブ

連載エッセー「本の楽園」 第30回 岩波文庫について②

作家
村上政彦

 大江健三郎さんの小説を読むようになったのは10代のころだった。同時代の小説家として、世界文学の動向を視野に入れ、新しい文学をつくろうとしている態度に共感し、新作が発表されるたびに注目してきた。
 お会いしたことはないが、僕が続けて芥川賞の候補になっていたとき、選考委員をなさっていたので、作品を読んでもらうことになった。確か4回目に落選したときの選評で、「村上政彦は実力を示してきた」と評され、複雑な思いを 抱いたおぼえがある。 続きを読む

それ、共産党の〝実績〟ですか?――平然とデマ宣伝を繰り返す体質

ライター
松田 明

「仕事を横取りするハイエナ」

 東京都議選を前に、日本共産党が懲りもせず〝デマ宣伝〟を繰り返している。
 運動員たちによって軒並み各戸配布された『東京民報』(2017年4・5月号外)は、デカデカと「チェック機能、提案力… フルに発揮 日本共産党東京都議団」と掲げ、2つの〝成果〟をアピール。 続きを読む

「反戦出版」書評シリーズ② 『語りつぐナガサキ――原爆投下から70年の夏』

ジャーナリスト
柳原滋雄

被爆体験を継承するための重要な一書

 2015年に新たに上梓された『語りつぐナガサキ――原爆投下から70年の夏』は、前年に出版された『男たちのヒロシマ――ついに沈黙は破られた』につづく長崎編と呼べるものだ。
『ヒロシマ』は表題のとおり、男性のみによる証言集だったのに対し、長崎編には男性・女性の体験から成っている。 続きを読む

北朝鮮情勢で恥をかく共産党――「地上の楽園」「リアルな脅威がない」

ライター
松田 明

新たな段階に入った脅威

 5月14日の朝、北朝鮮が今年に入ってから7回目となる弾道ミサイルを発射した。
 同国西部クソン付近から発射されたミサイルは約30分間飛行し、約800キロ離れた日本海に落下した。CNNは、落下地点がロシアの太平洋艦隊司令部があるウラジオストクから60マイル(約97キロ)しか離れていないと報じている。
 北との対話路線を打ち出していた韓国の文在寅大統領が就任した直後、また中国が〝今年最大の外交行事〟と位置付けて世界のおよそ140ヵ国のリーダーを集めた「一帯一路フォーラム」の初日の朝の発射である。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第30回 岩波文庫について①

作家
村上政彦

 文学を手にし始めた10代のころ、ひとつ悩みがあった。まだ子供だから経済的には不自由だ。しかし、ハードカバーの単行本は高い。だから、読みたい本があっても、それが文庫になるのを心待ちにしたのだが、早く読みたいので、待っているあいだ、ずっと焦れている状態だった。
 僕は、ほとんどの文学作品を文庫で読んでいる。文庫は、廉価だし、持ち運ぶにも便利だ。本棚に並んでいるのは文庫ばかりだった。背表紙の出版社を見ると、新潮社、文藝春秋、講談社、集英社などがあったが、そのなかでも特別な存在は岩波文庫だった。 続きを読む