僕は高校を中退している。そのあとは、いまでいうニートを経て、アルバイト暮らしに入った。それから紆余曲折があって大学へ入り、業界誌の記者や学習塾の経営などをやって、作家デビューを果たした。
だから、働くということについて、いろいろ考えることが、たぶん人より多かったとおもう。ニートをやめて、アルバイト暮らしに入ったとき、それはさまざまな職種を体験した。
いちばん大変だったのは、肉体労働で、3日でやめた。体が悲鳴を上げて、高熱を発し、働けなくなったのだ。楽しかったのは、某ファーストフードチェーンのスタッフとして、外で子どもたちに風船を配っていたことだった。自分が天使になった気がしたものだ。
作家デビューを果たしたのが29歳のときで、それ以降は小説家としての肩書きから発生する仕事以外はやったことがない。幸運だとおもう。あれから約30年――働くことについて考えてみた。 続きを読む





