コラム」カテゴリーアーカイブ

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連載エッセー「本の楽園」 第29回 生きるための詩

作家
村上 政彦

 僕は9歳のときに父を喪った。その後は母と祖母に育てられた。
 母は、酒場で「ママさん」と呼ばれる勤めをしていた。だいたい昼頃まで寝ていて、夕刻に近くの銭湯へ行き、きれいに化粧をして着物を着る。三面鏡の前で、ぽんと帯を叩いて出かけて行く。帰るのは深夜である。

 家族というのは不思議なもので、母と祖母は特に話し合ったわけでもないだろうが、いつか母が「父」になり、祖母が「母」になった。 続きを読む

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「離党ドミノ」止まらぬ民進党――共産党との共闘路線に離党者続出

ライター
松田 明

東京都連幹事長の離党

 蓮舫代表の選挙地盤・東京で、民進党の〝離党ドミノ〟が止まらず、ついに国会議員まで離党を宣言。
 4月9日、民進党東京都連幹事長の長島昭久衆議院議員が地元支持者に離党の意向を表明し、その旨を自身のツイッターでも発表した。当選回数5回。民主党政権時代には防衛副大臣も務めた人物だ。 続きを読む

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連載エッセー「本の楽園」 第28回 君子の酒食

作家
村上 政彦

 僕は、グルマン(健啖家)ではあるが、いま流行のグルメ(美食家)ではない。知る人ぞ知るレストランに何年も先の予約を入れたり、旨いものを求めて辺境に足を運んだりすることはない。
 ジャンクフードも好きだし、小腹が空けばスーパーの沢庵でお茶漬けもかきこむ。いたって普通の食生活を送っている。ただ、食べるのは好きで、旨いものには必ず手が出るし、TVのグルメ番組などは好んで見る。
 実は、本でも、食について書かれたものは読んでいて愉しい。もっとも、こっちのほうは、文章の好悪がはっきりしているので、グルメといえるかもしれない。不味い文章は、まったく食指が動かないのだ。 続きを読む

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「ヘルプマーク」を知っていますか?――1人の母の声がついに政府を動かした

ライター
松田 明

それは東京都から始まった

 赤地に白十字とハートのマーク。「ヘルプマーク」をご存じだろうか?
 2020年東京オリンピック・パラリンピックなど外国人旅行者の増加に対応し、「駐車場」「救護所」「案内所」「温泉」などを示すマークが外国人にもわかりやすいよう、3月22日、経済産業省は7種類のピクトグラム(案内用図記号)の国内規格であるJISを変更する取りまとめを発表した。
 旧来のJISによる図柄よりも国際規格(ISO)の図柄の方が日本人にも外国人にもわかりやすいという調査結果を受けたものだ。 続きを読む

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連載エッセー「本の楽園」 第28回 文学全集で文学と交際する

作家
村上 政彦

 大学で文芸創作のクラスを担当していて、学生に小説の書き方を教えている。いい小説を書くには、まず、すぐれた小説を読むことだ、というと、すぐれた小説とはどういうものですか? と質問を受ける。
 そのときの僕の答えは単純である。文学全集を読みなさい。

 世界のすぐれた小説の水準を知りたければ、世界文学全集を読めばいい。日本のすぐれた小説の水準を知りたければ、日本文学全集を読めばいい。 続きを読む