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【コラム】イスラエルとパレスチナ。そして私たち自身の隣人へのまなざし――【映画】『もうひとりの息子』

ライター
青山樹人

※このコラムには、2013年10月19日公開 映画『もうひとりの息子』のストーリーなど内容についての記述があります。

外形で区別できないユダヤ人とパレスチナ人

 2013年10月から日本でも封切られた映画『もうひとりの息子』は、2012年の東京国際映画祭で、審査員全員一致のグランプリと最優秀監督賞をダブル受賞した話題の作品だ。
 監督と脚本を手がけたのはユダヤ系フランス人のロレーヌ・レヴィさん。彼女自身のアイデンティティともかかわりのあるイスラエルとパレスチナの根深い対立を題材に、普遍的な共感と希望の予感を覚えさせる物語を描いて絶賛を浴びた。
 イスラエルとパレスチナの問題は、とりわけ私たち日本人にはよく理解できていないことが多い。 続きを読む

個人化が進む今だからこそ、中間集団の持つ可能性に期待

学習院大学非常勤講師
新 雅史

国家と個人の中間に存在する中間集団。その可能性と重要性が、個人化が進むなかで注目されている。

中間集団が注目された歴史的背景

「中間集団」の存在は「希望ある社会」の創造を目指す私たちにとって、非常に大きな役割を果たすと私は考えています。 続きを読む

共同体が崩壊した日本にあって信仰に基づく連帯が持つ可能性――社会における宗教の役割・機能について

首都大学東京教授
宮台真司

日本人と宗教の関係

 まず社会学では、宗教をどのように捉えているかというところからお話ししましょう。
 マックス・ウェーバーの「エートス(行動様式)」あるいは、アメリカの宗教社会学者ロバート・N・ベラーが「心の習慣」と呼んだりしていますが、簡単には変えられない精神的な傾向について、それを形づくる非常に重要な要素として宗教を捉えています。もし日本人特有のエートスないし心の習慣があるとすれば、それは日本人と宗教の関係(宗教社会学的条件)を考えてみる必要があるのです。 続きを読む