多様性が担保される社会のかたちとはどのようなものか。
民主主義における「多数者の専制」
フランスの思想家トクヴィルは『アメリカのデモクラシー』という本で、デモクラシー(民主主義)にとっていちばん重要なのは国家と個人の間のアソシエーション(中間的組織)だと強調しました。労働組合や社会団体、宗教団体といったアソシエーションへの参加を通じて、自分とは違う他者の考え方を尊重し、合意形成していくパブリック・マインド(公について考える気持ち)が醸成されていくのです。 続きを読む
多様性が担保される社会のかたちとはどのようなものか。
フランスの思想家トクヴィルは『アメリカのデモクラシー』という本で、デモクラシー(民主主義)にとっていちばん重要なのは国家と個人の間のアソシエーション(中間的組織)だと強調しました。労働組合や社会団体、宗教団体といったアソシエーションへの参加を通じて、自分とは違う他者の考え方を尊重し、合意形成していくパブリック・マインド(公について考える気持ち)が醸成されていくのです。 続きを読む
領土問題や歴史認識で展望を描けない日本外交。社会不安から一部若者によるヘイトスピーチも広がる。対立と分断を乗り越えていく共生の思想を松本氏に聞いた。
私は2006年に『日・中・韓のナショナリズム 東アジア共同体への道』(第三文明社刊)を執筆しました。同書の冒頭で私は、「世界経済のグローバル化は国家間の対立解消には向かわず、自国の権益を守ろうとするがゆえに、かえって内向き志向を強めてナショナリズムが険しさを増していく」とナショナリズムのもつ危険性を指摘しました。 続きを読む
最近は葬儀のかたちも少しずつ自由になりつつあるというが、それでも人が亡くなったら坊さんが来てお経をあげるというのは、日本社会で想定されているスタンダードな葬儀のスタイルだろう。
日頃は「無宗教」を名乗っているような人でも、葬儀を僧侶にゆだねることには抵抗がない。そして、ほとんどの人は、それが仏教の教えに基づいたものであり、日本の古い伝統だと思い込んでいる。 続きを読む
クリスマスはキリストの降誕を祝う祭祀だが、じつは新約聖書にはその具体的な「日付」がいつだとは出てこない。それで12月25日がクリスマスになったのは、キリスト教が小アジアに伝播していく途中で、おそらくそれらの地域にあった冬至の祭祀と習合していった結果だろうといわれている。 続きを読む
ノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイさんは、日本で覚えた「もったいない」という言葉を、環境保護の智慧を含んだキーワード「Mottainai」として世界に発信した。
2009年のラマダン(イスラムの断食)期間中にサウジアラビアで放映された『ハワーティル(改善)』というテレビ番組は、たちまち同国の人々を釘付けにし、シリア、ヨルダン、エジプト、イラクなど周辺のアラブ諸国でも反響を呼んだそうだ。
この番組は、学校で生徒たちが掃除をする、時間を正確に守る、順番に並ぶ、落ちていた財布を交番に届けるといった日本人の振る舞いを、驚きをもって紹介しながら、自分たちの社会も日本を模範に〝改善〟していこうという内容だ。 続きを読む