カンヌ国際映画祭」タグアーカイブ

カンヌ映画祭が絶賛。禁じられた「愛」の物語――映画『キャロル』

ライター
倉木健人

ミリオンセラーとなった原作

 パトリシア・ハイスミスという作家の名前を聞いて、すぐに作品名が出てくる人は、かなりの文学通か映画ファンだろう。
 彼女には代表的な長編が3つあり、1つは『見知らぬ乗客』(1950年)、1つは『太陽がいっぱい』(1955年)。前者は次の年にヒッチコックによって映画化され、後者はいうまでもなく名優アラン・ドロンを一躍スターダムに押し上げた映画となった。 続きを読む

巨匠が贈る「対話への行動」促すメッセージ――映画『サンドラの週末』

ライター
倉木健人

※このコラムには、2015年5月23日公開 映画『サンドラの週末』のストーリーなど内容についての記述があります。

1人を解雇するか、全員のボーナスをあきらめるか

 カンヌ映画祭で史上初の5作品連続受賞。しかも2度のパルムドール大賞。その巨匠・ダルデンヌ兄弟の最新作『サンドラの週末』が日本でも公開になる。
 ジャン=ピエール・ダルデンヌ(兄)とリュック・ダルデンヌ(弟)の2人は、一貫して〝社会の枠からはみ出してしまった人〟を主人公に映画を撮り、世界に衝撃と共感を与えてきた。 続きを読む