立憲主義」タグアーカイブ

憲法は平和主義とともに国際協調主義も要請している

九州大学大学院准教授
井上武史

 安保法制が施行された今、あらためて安保法制成立の過程を見つめなおし、今後の課題を探る。井上武史氏に聞いた。

違憲の根拠は示されていない

 今回の安全保障関連法(安保法制)に関して、憲法に照らして合憲とする根拠がどこにあるのかということをよく聞かれます。これについては、積極的に合憲というよりは、明確に違憲といえない以上は合憲である、というのが私の立場です。
 そもそも、こうした問いかけそのものが問題設定として不適切なものです。なぜなら、集団的自衛権は国際法で認められた権利であり、もともと国家はそれを正当に行使することができるわけですから、あらためて行使を認める根拠を見つける必要などありません。 続きを読む

立憲主義の立場から集団的自衛権行使は絶対に認められない

伊藤塾塾長/弁護士
伊藤 真

 「日本ブランド」平和憲法を守るために。

「解釈改憲」は憲法違反である

 今、憲法の解釈を変更することでの集団的自衛権行使の容認が問題となっています。その問題が語られるとき、「解釈改憲」という用語が使われます。そのような概念はそもそもありません。憲法を変えるのは憲法96条の手続きに則って行うべきです。憲法を変えるには、これしかあり得ないのです。 続きを読む

【コラム】集団的自衛権めぐるヤンキー的なノリ――「結果」を問わない〝勢いのリアリズム〟の危うさ

ライター
青山樹人

「気合いとアゲアゲのノリ」の国

 精神分析医で評論家の斉藤環氏は、近著『ヤンキー化する日本』で、日本社会と〝ヤンキー文化〟の親和性を述べている。
「ヤンキー」とは言うまでもなく不良少年少女を指すわけだが、斎藤氏は

<むしろ、彼らが体現しているエートス、すなわちそのバッドセンスな装いや美学と、「気合い」や「絆」といった理念のもと、家族や仲間を大切にするという一種の倫理観とがアマルガム的に融合したひとつの〝文化〟を指すことが多い>

と解説する。
 それはひとことで言えば、論理や理想よりも「気合いとアゲアゲのノリ」で突き進むことを美しいと感じる文化である。 続きを読む

憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認の暴挙を防ぐ

元内閣法制局長官
阪田雅裕

憲法第9条の「戦力」と自衛隊

 いま、安倍政権は、憲法9条の「解釈」を変更することにより、集団的自衛権の行使を可能にしようとしているといわれています。
 この問題を考えるにあたっては、改めて憲法第9条の文言を確認する必要があると思います。 続きを読む