若者の未来をつくる公明党「青年政策アクションプラン」

参議院議員
新妻秀規

 社会の担い手である若者が生き生きと働くためには何が必要か。若者と政治の橋渡し役として活動に取り組む公明党青年委員会青年政策ワーキングチーム座長の新妻議員に話を聞いた。

安心と信頼の労働環境を

 この夏、公明党青年委員会では、「青年政策アクションプラン」(以下アクションプラン)をとりまとめました。
 日本社会が抱える諸問題を解決するためには、若者の意欲と活力を引き出すことが重要です。それに対して現状では、若者の能力を引き出せる仕組みが十分とは言えないのではないか、と考えたためです。
 私たちはアクションプランの策定にあたり、まず若者が置かれている現状を把握し、彼らとともに課題解決の道筋を探るため、全国で約50回の「青年市民相談会」を開催しました。延べ800人の若者の悩みに耳を傾け、寄せられた声を「働く」「子育て」「地域で活躍」の3つの政策テーマに集約し、本アクションプランにまとめたのです。
 全国の若者との語らいを進める中でわかったことは、彼らを取り巻く雇用環境の深刻さでした。
 これまで公明党は、雇用労働対策本部を中心に「ブラック企業」の問題に取り組んできましたが、今回の調査では状況が一層深刻になっていることが明らかになりました。若者を食い潰す一部の企業によって労働法制が有名無実化し、若者が劣悪な雇用条件や職場環境で働かざるを得ない状況がわかったのです。
 少子高齢化の日本において、若者は貴重な社会の担い手です。社会を支える彼らが、やりがいを感じて安心して働くことができなければ、日本は悪循環へと陥ってしまうでしょう。その意味においても、若者の雇用の問題こそ政治が全力で取り組むべき重要課題だと考えています。
 アクションプランでは、国が「働き方のルール」を企業に順守させることを通して、会社と個人の信頼関係を取り戻すことを目指しています。具体的には、現在、若者を採用・育成するために、通常の求人情報よりも詳細な企業情報・採用情報を公表する中小企業を「若者応援企業」として、積極的にマッチングやPRなどを行う「若者応援企業宣言」という事業があります。これを、若者の就労に関して一定の基準を満たす中小企業を認定する制度として拡充していきます。
 また、育児休業や短時間労働の制度を導入し、従業員の仕事と育児を支援する企業を「プラチナ・くるみん(仮称)」マークとして認定し、助成や税制優遇措置を講じるなど雇用環境の可視化を徹底します。
 若者の働き方については、ワンストップでの情報提供と相談に応じる「労働条件相談ダイヤル(仮称)」の導入に取り組んでいきます。さらに、ニートや引きこもり状態にある若者のアウトリーチ(家庭訪問)活動を通じた就労支援にも取り組みます。そのためにも、これまで公明党が力を注いできた「地域若者サポートステーション」のさらなる機能拡大や行政・大学・NPOなど関係機関との連携強化に尽力していきます。

子育て支援で国際競争力向上

 アクションプランでは、若者の子育てを応援しています。その一環として、子どもたちが安心して学べる教育環境づくりを目指し進めているのが、各種公的奨学金制度の充実です。近年、子どもたちの貧困や、格差の再生産が指摘されるようになりました。家庭の事情で子どもたちの学びたい意欲がそがれてしまうことは、日本社会全体の大きな損失だと思います。
 今、世界は「知的競争の時代」へと突入しつつあります。高い能力を持った人材を育成するとともに、世界の国々から優秀な人材を集めることが、グローバル競争を勝ち抜くための条件になっているのです。
 残念なことに、日本はこの頭脳獲得合戦において欧米に大きく後れを取り、新興のアジア諸国にも追いぬかれ始めています。原因の1つには、「高度人材」を養成する大学院への進学費用が高額であることと、博士号を取得した人間の活躍の場が企業の中に少ないことがあげられます。
 教育への投資は日本の未来への投資です。社会を支える優秀な人材を育成するためにも、返済不要の「給付型奨学金」の導入や、「無利子奨学金」の拡充、さらに学校卒業後の所得に連動して返済額が変わる「所得連動返還型無利子奨学金」など教育環境のさらなる整備に取り組んでいきます。
 そして、心豊かな子どもたちを育てるために、文化・芸術・スポーツに親しむ機会の提供にも努めたいと思います。イギリスやフランスなど成熟した国々が、なぜ世界の尊敬と称賛を勝ち得ているかといえば、文化や芸術などただちに経済的利益を生まない分野にも投資を行っているからです。
 また多くの国民の共通認識として、優れた文化や芸術の育成と共有こそ、産業と社会を支える大きな土台であるとの豊かな精神性が育まれているからだと思います。
 たとえば、世界の美食家に愛用される『ミシュランガイド』も、刊行しているのは自動車のタイヤメーカー(ミシュラン社)です。タイヤをたくさん売るために、自動車旅行を活性化させよう。その大局的観点から食文化を育てるためのガイドブック刊行に力を注いでいるのです。
 スポーツの振興も文化や芸術と同じです。子どもたちの豊かな感受性を育むと同時に、地域の連帯の絆を強め、社会の活力を引き出していくことができます。スポーツの振興は、文化や芸術と同じく即効性ある政策ではありませんが、日本の未来を開く重要課題であるとの思いでさらなる取り組みを進めていきます。

若者の力で地域を再生

 本格的な人口減少・少子高齢化社会を迎え、地域再生が重要な課題となっています。青年委員会では、「日本の未来は地域が主役」との思いから、地域で活躍する若者の育成を支援していきます。
 今、私たちが注目しているのが「地域おこし協力隊」事業です。同事業は都市部に暮らす若者の過疎地域移住を促進するとともに、若者の技能習得を支援し、彼らを主体とした地域貢献(地域おこし)活動を盛り上げていく取り組みです。
 私たちが視察に赴いた山梨県北杜市と韮崎市の現場では、農業にいそしむ2人の青年が印象的でした。埼玉県と千葉県でサラリーマン生活を送っていた2人は、日々の単調な生活に喜びを感じられず、自分の生み出したものに誇りを持ちたいとの動機から協力隊事業に応募しました。
 もちろん農作業は決して楽な仕事ではありません。天気にかかわらず休みなく畑仕事に汗を流さねばなりませんし、農繁期になれば早朝4時に起床して畑に出る必要があります。
 また約3年の実習期間のうちに基本的な農業技術を身につけ、独立のための農地確保も自分で行わねばなりません。乗り越える課題はたくさんありますが、それでも彼らは、「収穫する喜びは何ものにも代え難い」と農業の喜びを語ってくれました。
 チャレンジ精神にあふれた都市部の若者が、独立して生計を営みながら地域に活力を与えていく協力隊事業には、実に多くの可能性が秘められているのです。私たち青年委員会では、地域おこし協力隊事業の全国1000自治体での実施を目指していきたいと考えています。
 あわせて、集落単位での地域活性化対策を可能にする「都市農村共生・対流総合対策事業(新・田舎暮らし隊)」の実施を目指すとともに、「子ども滞在型農山漁村体験教育」の実現にも取り組み、日本の魅力ある地域づくりに貢献していきたいと願っています。
 公明党は51人の国会議員のうち14人が青年委員会に所属し、地方議会でも青年局が活躍する「青年政党」です。私たちはこれからも若者の悩みに寄り添い、ともに解決の道を考えながら、若者が輝ける社会の実現に取り組んでいく決意です。


にいづま・ひでき●1970年、埼玉県生まれ。東京大学工学部卒業。同大学院修士課程(航空宇宙工学専攻)を修了し、川崎重工業株式会社に入社。航空宇宙事業本部に配属。在職中に2度のアメリカ赴任を経験。ボーイング社で計5年間働き、最新鋭旅客機「ボーイング787」の開発などに携わる。2013年、参議院選挙で初当選。公明党青年局次長、国際局次長などを務め、「ものづくり大国・日本」の再建を目指す。 公明党青年委員会HPhttp://www.komei.or.jp/youth_site/