人間のもっとも基本的な営み
旧統一教会の抱える問題がクローズアップされ、「宗教」に社会の目が注がれている。
宗教が人間を手段化していくことの愚かさと恐ろしさ。連日の報道に接しながら、多くの人がそのことに戦慄しているだろう。
本来、宗教は人間を幸福にしていくためにあるはずだ。旧統一教会問題は、この「宗教の立ち返るべき出発点」をあらためて社会に問い直している。
私は、宗教とは、人間がその有限性に目覚めたときに活動を開始する、人間にとってもっとも基本的な営みだと理解している。このような大切な営みに対して、日本人が長年にわたって「無宗教」の一言ですましてきたということは、尋常なことではない。(阿満利麿『日本人はなぜ無宗教なのか』ちくま新書)
とはいえ、単に反社会的行為を繰り返す教団の異常性をバッシングして留飲を下げるだけに終わっては何の意味もない。21世紀という時代に求められる宗教のすがたとはいかなるものか。宗教が社会に果たすべき役割は何か。今こそ認識を深めなければならない。 続きを読む