天才アピチャッポンの未公開作がついに日本で封切り――映画『世紀の光』

ライター
倉木健人

2016年はアピチャッポン・イヤー

 2010年に『プンミおじさんの森』で、タイ人監督として初めてカンヌ映画祭パルムドール(最高賞)を受賞したアピチャッポン・ウィーラセタクン。1970年バンコク生まれ。タイ東北部のコーンケン大学で建築を学んだあと、米国のシカゴ美術館附属シカゴ美術学校で美術・映画制作の修士課程を修了した。
 これまで『ブリスフリー・ユアーズ』(02年)でカンヌの「ある視点賞」、『トロピカル・マラディ』(04年)で同「審査員賞」を受賞。いわゆる商業映画とは異なる〝個人的な映画〟としての作品を撮り続け、世界の注目を集めてきた。 続きを読む

LGBTの社会的包摂を進め多様性ある社会の実現を

京都産業大学法科大学院教授
渡邉泰彦

 LGBT(性的少数者)の抱える問題から、多様性ある社会について考える。

LGBTとは

 近年、LGBT(※1)と呼ぼれる性的少数者の問題に社会的関心が寄せられるようになりました。日本では全人口の約5%、660万人ほどの性的少数者が暮らしていると推定されています。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第3回 本の逆襲

作家
村上政彦

 僕はお菓子が好きで、かつて食後には必ずデザートにお菓子を食べ、危うくメタボになりかけた。そこで、1週間のうち、数日間だけお菓子の解禁日を決めて、その日を「お菓子祭り」と称することにした。
 辛いもの、甘いもの、数種類買って来て、全部の袋を開けて少しずつ味見する。妻には、ひとつずつ食べれば、といわれるのだが、やめられない。だって、いちばん愉しい瞬間なのだから。 続きを読む

日本とフィリピンの「共生の世紀」を見つめて――書評『マリンロードの曙』

ライター
松田 明

両親を日本軍に惨殺されたアブエバ氏

 ホセ・V・アブエバ氏は、ニューヨーク市立大学、イェール大学等の客員教授を経て、東京の国連大学本部に勤務。帰国後は国立フィリピン大学総長として手腕を振るい、退官してカラヤアン大学を創立、初代学長に就任した。同国の憲法改正諮問委員会委員長を務めるなど、文字どおりフィリピンを代表する知性の1人である。 続きを読む

詩人・岩崎航の初エッセイ集――書評『日付の大きいカレンダー』

ライター
青山樹人

1万部を超えた詩集

 書店の世界で話題になっている詩集がある。岩崎航の綴った『点滴ポール 生き抜くという旗印』(ナナロク社)。2013年夏に出版されるや、1世紀超の歴史を有する『三田文学』が創刊以来初の巻頭カラーページで岩崎を紹介し、詩人・谷川俊太郎は岩崎の住む仙台まで駆けつけて彼と共にトークイベントをおこなった。 続きを読む