日中の未来をつくる作文コンクール――石をも貫く雨垂れのごとく

ライター
大森貴久

5年間で2000点を超えた応募作品

コンクールの表彰式(北京市内)でスピーチする陳文戈氏

コンクールの表彰式(北京市内)でスピーチする陳文戈氏

 2012年秋、日中関係は〝国交正常化以来最悪〟の冷え込みを見せた。関係の改善がまだ見通せていなかったその翌年、1つの作文コンクールが開催に向けて始動する。
 中国外文局に所属する人民中国雑誌社による「Panda杯全日本青年作文コンクール」である。その名の通り、日本の青年たちから中国にまつわるエッセイを募集する同コンクールは2014年にスタートし、昨年(2018年)で第5回を迎えた。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第66回 『ブローティガン 東京日記』

作家
村上政彦

小説を読むようになったころ、手に取ったのは、最初のうちはヨーロッパの近代小説だった。やがてモダニズムの作品に親しむようになって、気づいたらアバンギャルドへたどりついていた。
いちばん気に入ったのは、フランスのヌーボーロマンだ。代表的な作家であるアラン・ロブ=グリエの作品を追いかけた。彼の作品で手に入るものは、すべて読んだ。といってもフランス語は読めないので、翻訳されたものに限る。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第65回 英文創作教室

作家
村上政彦

むかしは翻訳者で読ませる本、というのがあった。ロシア文学なら神西清(じんざい・きよし)、フランス文学なら生島遼一(いくしま・りょういち)。最近そういう人は少なくなったが、いないわけではない。僕がこの人の翻訳ならと手に取るのは、アメリカ文学の柴田元幸さんだ。
図書館をパトロールしていたら、新刊コーナーに「柴田元幸編・訳」の本があった。タイトルを見ると、『英文創作教室』とある。著者はレアード・ハント。まだ読んだことはないけれど、名前は知っている。アメリカの小説家だ。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流
第25回 沖縄尚学の試み

ジャーナリスト
柳原滋雄

沖縄空手を本格導入した私立校

 沖縄県の中学・高校に「沖縄尚学」というユニークな私立校がある。県内では文武両道の進学校として有名で、国内外への大学進学、高校野球やテニスなど多くのスポーツ分野でも全国的に名を知られる存在だ。
 この学校で、全校生徒に週1回(70分)の空手授業を義務づける試みをスタートさせたのは2007年から(当初は中学校のみ)。きっかけとなったのは、中学校の校長をつとめる名城政一郎(なしろ・まさいちろう)副理事長の海外体験だった。 続きを読む

自公連立政権7年目④――平和安全法制の舞台裏

ライター
松田 明

米国からの強い圧力

 2012年8月に米国の戦略国際問題研究所(CSIS)から出された報告書、いわゆる第3次の「アーミテイジ・ナイ・レポート」は、民主党政権になってからの日本と米国の関係が、東日本大震災での〝トモダチ作戦〟までは「特異な政治的不調和」「日米同盟の漂流」だったと指摘した。
 民主党政権は対中外交も最悪にしていたばかりか、対米関係も最悪にしていたのである。 続きを読む