特集⑰ 逮捕された山崎正友――裁判所が断罪したペテン師

ライター
青山樹人

悪事が露見した「正」の活字

 顧問弁護士でありながら創価学会本部を欺き続けていた山崎正友は、1979年9月頃、法的にも重大な背信行為をおこなっていた。
 ひとつには、脱会して檀徒となった者や正信会僧侶と連携して、自身が顧問を務める創価学会に対して「特別財務返還訴訟」を起こさせたことだ。
 山崎は自ら訴状の草案を書いたうえに、最終的には訴状を自分の事務所のタイプ(当時は現在のようなパソコンが存在せず、和文タイプライターを使っていた)で印字した。
 また、学会の教学部長だった原島嵩を使って、聖教新聞社から資料のコピーを盗み出させた。これを自分の事務所に運び入れ、反学会ライターの内藤国夫や正信会の活動家僧侶らに流し、学会攻撃に使ったのである。
 この際、山崎から原島に計1000万円を超す現金が渡されたことが、のちの裁判で判決文に明記されている。
 1980年になって特別財務返還訴訟を画策したのが山崎であったことを知った学会本部は、東京弁護士会に山崎の懲戒を申請した。
 これに対し、山崎は臆面もなく事実を否定する虚偽の答弁書を弁護士会に送った。
 ところが、この答弁書が動かぬ証拠となった。山崎の事務所が使っていた和文タイプは「正」の字の一部に欠損があったのだ。
 返還訴訟の訴状にも、この欠損した「正」という特徴があり、山崎が平然とシラを切った答弁書に、まったく同じ欠損した「正」の字が打たれていたのである。
 欠けた「正」の字で、山崎の不法行為は証明された。
 追いつめられた山崎は、懲戒処分が下され世間に自分の正体がバレることを恐れて、自ら弁護士登録を抹消した。

45億円の負債で倒産

 学会の顧問弁護士という地位を利用して手に入れた億単位の悪銭で、わが世の春を謳歌していたかのように見えた山崎。
 だが、その事業は急速に破綻に向かった。経営していた会社は80年4月に45億円もの負債を抱え込んで倒産。暴力団関係者にまで追われる身となっていた。
 当時、山崎は週刊誌等で、破産した会社は創価学会から委託された事業だったなどとデタラメを繰り返していた。これらが学会とは何の関係もない彼個人の商売であったことは、のちの裁判で立証されている。
 債権者や闇社会の人間から身を隠すためホテルを転々としていた山崎は、80年4月、ついに創価学会を恐喝した。
 宗門との関係修復に苦心していた学会首脳に対し、顧問弁護士の〝退職金〟として3億円という法外な金額を要求。支払わなければ週刊誌を使ってさらなる騒動を起こすと脅したのである。
 当時は山崎と連携した活動家僧侶が各地で檀徒づくりを展開しており、学会員は混乱と苦悩に喘いでいた。
 週刊誌は山崎の流すニセ情報を検証することもなく報じ続けており、新しい騒動の材料を鵜の目鷹の目で待ちかまえていた。
 新たなデマ報道が活動家僧侶を勢いづかせ、各地の学会員たちをさらに苦しめることは必至であった。
 山崎は、会員を守り僧俗和合を最優先しようとする学会執行部の思いを熟知していた。だからこそ、そこにつけこんで恐喝をしてきたのである。

犯罪に加担した内藤国夫

 この時期、山崎の犯罪に大きく加担したのが、『毎日新聞』記者の内藤国夫だった。
 内藤は新聞記者でありながら、山崎が吹き込んだスキャンダラスなつくり話を、何ら事実確認もしないまま、月刊誌に書き殴った。
 しかも書き手として最低限のモラルすら捨て去り、まだ雑誌が出版もされないうちに、当該記事のゲラ刷りを編集部に隠れて山崎に渡していたのである。それは、山崎の新たな犯罪に利用された。
 山崎は、翌5月、内藤から手に入れた月刊誌記事のゲラ刷りを学会首脳に見せて、自分の要求に逆らえばさらなるスキャンダル報道が噴出すると脅して、新たに5億円を出すよう迫った。
 この年の6月には、初の衆参同日選挙が控えていた。内藤は全国紙の記者でありながら、あきらかに目前の選挙で公明党に不利に働くデマ記事を書いていた。しかも、雑誌が発売される前にそのゲラを恐喝の道具に使わせたのである。
 学会本部はついに1980年6月5日、山崎を警視庁に告訴した。
 内藤は、この卑劣な行為を糾弾されて、毎日新聞社を退職せざるを得なくなった。
 告訴された山崎は、学会を牽制するため同年6月から9月にかけて、週刊誌上に「創価学会最高幹部七人の内部告発」と題する〝覆面手記〟を装う記事を連載させた。むろん、現実に7人の最高幹部が存在するわけではなく、山崎がひとり芝居を演じたのである。
 さらに警視庁が逮捕を躊躇するように、自分を「正義の内部告発者」に見せかけるべく、10月から4カ月間にわたって実名で「山崎正友手記」を連載した。
 だが、警視庁は、半年に及ぶ内偵の末、翌81年1月24日に山崎を恐喝罪で逮捕した。
 典型的なサイコパスである山崎は、公判でもあらん限りの偽証を繰り返し、偽の証拠や証人まで用意する悪あがきを見せた。
 東京地裁は75回の厳正な審理を経た判決文で、山崎の虚構をことごとく退けた。
 1991年1月22日、最高裁は山崎の上告を棄却。一審どおり山崎の恐喝を認め、懲役3年の有罪に処した。
 判決文は、およそ50カ所以上にわたって山崎の供述を「信用できない」等と断罪。山崎は栃木県の黒羽刑務所に収監されたのである。

※この記事は『最新版 世界広布新時代への飛翔』(青山樹人著/鳳書院)をベースに加筆修正したものです。

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あおやま・しげと●著書に『宗教はだれのものか』(2002年/鳳書院)、『新装改訂版 宗教はだれのものか』(2006年/鳳書院)、『最新版 宗教はだれのものか 世界広布新時代への飛翔』(2015年/鳳書院)など。WEB第三文明にコラム執筆多数。