コラム」カテゴリーアーカイブ

沖縄県知事選のゆくえ④——「基地問題」を利用してきた人々

ライター
松田 明

辺野古混迷の〝元凶〟

 2009年8月30日の第45回衆議院議員選挙。
 その1ヵ月前の7月19日、民主党の鳩山代表(当時)は、海兵隊の普天間飛行場の移設先について「最低でも県外」と大見得を切った。
 この発言を前提に、民主党は選挙公約にも「米軍再編の見直し」を掲げ、同党は史上最多の308議席を獲得して政権の座に就く。
 沖縄県でも4つの選挙区すべて、民主党、社民党、国民新党の野党系が議席を独占した。
 ところが翌10年5月になると、鳩山政権はあっさり方針を転換し「県内移設」を示す。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流
第17回 しょうりん流① 首里地域の伝統武術「首里手」

ジャーナリスト
柳原滋雄

首里士族の伝統武術として受け継がれる

 首里城裏手の小高い丘の上にある崎山公園。那覇市から港にかけて一望できるこの公園の一角に2018年7月、首里手(しゅりて)の先駆者たちの名前をしたためた顕彰碑が設置された。
 表には「空手古武術首里手発祥の地」と金彫りされ、10人の空手家の名前が刻まれている。生まれの早い順に並べると次のようになる。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第57回 越境する文学

作家
村上政彦

最近、このコラムで越川芳明のチカーノ詩についての著作を取り上げた。とてもおもしろかったので、同じ著者のボーダー文学(芸術)についての著作を取り寄せた。『トウガラシのちいさな旅 ボーダー文化論』。こちらも、実におもしろい。
著者は、北米とメキシコの国境を旅して画家のフリーダ・カーロを論じ、革命家チェ・ゲバラに思いを馳せ、タンジールに飛んでポール・ボウルズにインタビューを試み、沖縄でシマ言葉を小説の文体に活かそうとする作家と語り合う。ちいさな旅どころではない。 続きを読む

沖縄県知事選のゆくえ③——すっかり変貌した「オール沖縄」

ライター
松田 明

翁長県政が誕生した経緯

 前回2014年の県知事選で、現職の仲井眞弘多氏を破って当選した翁長雄志氏は、前那覇市長。それ以前は自民党の那覇市議、沖縄県議を務め、県連幹事長でもあった。
 2013年12月、当時の仲井眞知事がそれまでの「辺野古への移設反対」の姿勢を転換。普天間飛行場の危険性を取り除くことを優先し、政府からの沖縄振興策を取りつけ、名護市辺野古の埋め立てを承認した。
 このことで今度は県内の自民党や保守層が分裂することになった。 続きを読む

沖縄県知事選のゆくえ②——立憲民主党の罪深さ

ライター
松田 明

2ヵ月で公約を反故に

 立憲民主党の枝野幸男代表は、8月29日、那覇市内で記者会見を開いた。
 この席で、枝野代表は沖縄県知事選で共産党など「オール沖縄」が支持する玉城デニー氏(自由党幹事長)を、立憲民主党としても支援することを表明。
 あわせて、同党の沖縄県連を設立し、県連代表に有田芳生参議院議員が就任することを発表した。
 注目されたのは、枝野氏が普天間飛行場の閉鎖に伴う名護市辺野古への移設に、立憲民主党として「反対」すると語ったことだ。
 辺野古移設の問題をここまでこじれさせた最大の責任は、かつて枝野氏らが率いてきた民主党政権にある。 続きを読む