コラム」カテゴリーアーカイブ

連載エッセー「本の楽園」 第120回 カズオ・イシグロの新作

作家
村上政彦

 カズオ・イシグロの名を知ったのは、もう30年近くも前になる。『日の名残り』という長篇小説が、イギリスのブッカー賞を受けて邦訳され、僕も手に取ってみた。ブッカー賞の受賞作ということより、日系イギリス人で、同世代の作家であることのほうに関心が向いた。
 一読して、なかなかの書き手だと思った。人物造形がうまい。ストーリーテリングが巧みだ。主題よく吟味されていて興味深い。これは手強いライバルだな、と思っていたら、次々と発表して、2017年度のノーベル文学賞を受けてしまった。
 あれ? ついこのあいだまでライバルだと思っていたのに、いつの間にかえらく差をつけられてしまった。人生は難しい。文学は、もっと難しい。悔しくないといったら噓になる(思い上がるな、といわれてもいいです)。 続きを読む

「公明党衆院選重点政策」第3弾――感染症に強い日本へ

ライター
松田 明

「厚生労働委員会」で質問に立つ高木美智代衆議院議員(2021年8月25日)

コロナ対策を一貫して牽引

 9月30日をもって緊急事態宣言が解除となった。陽性者数、入院患者数も順調に減少傾向が続いており、街には久しぶりの賑わいが戻ってきた。(※参考サイト:COVID-19 Japan
 昨年1月に日本で最初の新型コロナウイルス感染者が確認されて以来、公明党は一貫してコロナ対策を牽引してきたといえる。
 昨年2月14日には政府に「専門家会議」の設置を要望。自宅やホテルで療養する患者の重症化の兆候を見逃さないため、血中酸素濃度を計測するパルスオキシメーターの導入を求めたのも公明党だ。 続きを読む

芥川賞を読む 第11回 『石の来歴』奥泉光

文筆家
水上修一

講談的な文体で謎めいた世界を描く

奥泉光著/第110回芥川賞受賞作(1993年下半期)

力量ある文体で読者を引き込む

 第110回芥川賞を受賞したのは、当時37歳だった奥泉光。後に芥川賞選考委員となり、現在もその任を担う。以前から注目されており、すでに何度か最終候補に残っていたから満を持しての受賞と言えるだろう。
「石の来歴」は、162枚の作品。奥泉の作品は、ミステリー的な要素をもち、夢か現か分からない謎の部分に読者を引き込む手法が得意だが、受賞作もまさにそうした作品だ。 続きを読む

「公明党衆院選重点政策」第2弾――日本経済の再生

ライター
松田 明

接種加速で見えてきた光

 政府が1日100万回以上のワクチン接種を強力に推進してきた結果、国内の接種者は飛躍的に増加。2回接種を終えた割合は先行していた米国を抜き、1回以上接種した人の割合も、世界でもっとも早く接種を開始した英国に並んだ。(9月30日時点)
 予備費を活用したワクチン確保への道筋を開いたのは公明党だった。全国の自治体での接種にあたっても、ワクチンの融通や効率的な接種など、国会議員と最前線の地方議員が綿密に連携する公明党のネットワークが奏功している。
 ワクチン接種が大きく進んだことで、あの激烈だった第5波の感染も収束に向かい、緊急事態宣言は9月30日で解除された。 続きを読む

「公明党衆院選重点政策」第1弾――子育て・教育を国家戦略に

ライター
松田 明

政府を動かす公明党の政策

 次期衆院選に向けて、連立与党の公明党が党としての「重点政策」を発表した(10月1日)。
 10月4日の首班指名を受けて岸田政権を出発させるにあたり、自民党は公明党と「自公連立政権合意」を新たに締結。
 この「重点政策」は新たな連立政権のもとにあって、公明党として実現を目指すもの。
 たとえば2020年に菅義偉内閣が発足した際も、公明党は政策合意の条項に「持続可能で強靭な脱炭素社会」を盛り込んだ。
 それまで菅氏自身は脱炭素社会にとくに関心のあった形跡がないが、この公明党の政策を受け入れて、所信表明演説では2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを発表。「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現」を目指すことを宣言した。
 これは従来の自民党の政策を考えると画期的なものであり、公明党の政策が日本政府の方針に大きな影響を与えた直近の一例である。 続きを読む