投稿者「web-daisanbunmei」のアーカイブ

連載エッセー「本の楽園」 第24回 カルヴィーノの構想する30世紀文学

作家
村上政彦

 僕がイタロ・カルヴィーノを信頼するのは、彼が文学への信頼を手放さないからだ。

 文学の未来に対する私の信頼は、文学だけがその固有の方法で与えることのできるものがあるのだと知っていることによっています。

 カルヴィーノを知ったのは、僕が小説家としてデビューしたすぐのころ、手探りで自分の世界を構築しようとしていた時期だった。『冬の夜ひとりの旅人が』という長篇小説を読んだ。 続きを読む

書評『新たな地球文明の詩(うた)を タゴールと世界市民を語る』

ライター
青山樹人

インドを目覚めさせた「詩聖」

 およそ10年後の2020年代後半には世界一の人口に達するインド。近年、ようやく日本はインドとの間の経済交流、また安全保障を含む政治対話に、本格的に乗り出した。
 とはいえ、私たち日本社会はインドという大国をどこまで知っているのか。
 インドを理解し、語るうえでの〝肝〟ともいえる存在が、ラビンドラナート・タゴール(1861-1941)だろう。 続きを読む

学会と宗門、25年の「勝敗」――〝破門〟が創価学会を世界宗教化させた

ライター
青山樹人

仏教史上に例のない供養

 かつて〝日本最大の隆盛〟を誇りながら、わずかこの25年で、風前の灯火のように衰亡した仏教宗派がある。
 日蓮正宗――。そう言われても、もはやほとんどの人が名前も知らないだろう。
 静岡県富士宮市の大石寺を総本山とするこの宗派は、日蓮の弟子・日興を開祖とし、古くは日蓮宗興門派や富士派を名乗っていた。日蓮正宗と改称したのは、1912年(明治45年)のことである。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第23回 短篇小説の愉しみ

作家
村上 政彦

 本が好きだ。この齢(半世紀は過ぎました)になると、人並みにさまざまな経験を重ねてきて、何をしてもときめくということは、あまりない。ところが、本を買って、最初のページを開くときには、いつもときめいている。
 なんだろう、この感じは。つらつら考えてみると、そう、恋に近い。 続きを読む

与野党の明暗が分かれた1年――から騒ぎに終始した民進党

ライター
松田 明

暮らしに直結する法律の数々

 12月17日、第192回臨時国会が閉会した。
 政府提出法案は継続案件も含めると24本が成立。議員立法は17本が成立した。
 報道では、TPPやIR(統合型リゾート整備推進)法をめぐる派手な騒ぎばかりが目を引いたが、成立した法律の中には、SNS上での嫌がらせも規制対象に加えた改正ストーカー規制法、がんになっても就労し続けられる道を開いた改正がん対策基本法、休眠預金を社会公益活動への助成に転ずる休眠預金活用法など、国民の暮らしの質を上げる法律が少なくない。 続きを読む