投稿者「web-daisanbunmei」のアーカイブ

書評『人生にムダなことはひとつもない』――作家とお笑い芸人の対話

ライター
本房 歩

「人生と信仰」を語る

 作家の佐藤優氏と、お笑い芸人「ナイツ」の土屋伸之・塙宣之の両氏という、かなり異色な取り合わせの鼎談である。
 今さら記すまでもないが、佐藤氏は外務省で在ロシア日本大使館勤務ののち国際情報局で主任分析官を務め、2002年にいわゆる鈴木宗男事件に連座するなどして逮捕・起訴された(13年執行猶予満了)。
 この捜査の内幕を綴った著書『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』で、05年に第59回毎日出版文化賞特別賞を受賞。以降、作家として驚異的な勢いで著作を出し続けている。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流
第2回 沖縄空手界をたばねる団体

ジャーナリスト
柳原滋雄

「本場」の空手を映像付きで紹介した書籍

関係者の間で秘かに注目されてきた本がある。タイトルは、『公開! 沖縄空手の真実』――。サブタイトルに「君は本物の空手を見たことがあるか?」の文字が見える。
発刊されたのは2009年。沖縄国際大学名誉教授の高宮城繁(たかみやぎ・しげる1935-2014)の呼びかけで沖縄空手の長老と目される著名な空手家が協力して制作された。110分の特別映像の入ったDVDが付録につけられている。沖縄空手の3大流派の主要な型を演武した映像が収められており、ノーマルスピード、スロースピード、さらには角度を変えて見せるという気の使いようだ。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第44回 青春の詩人・中原中也

作家
村上政彦

作家になる、と宣言して高校を中退した。若気の至りである。もちろんすぐに作家デビューできるわけもなく、高校中退の身の上では、ろくな働き口もなく、さまざまなアルバイトを転々とした。
なかでもきつかったのは、建設現場の力仕事だった。穴を掘ったり、セメントをこねたり、資材を運んだり。昼前には、くたくたになる。ただ、若かったから食欲はあって、昼の弁当は、このうえなくうまかった、
朝の早い仕事だから、終わるのも早い。日没前には帰り支度をする。しかし僕は、まっすぐ家へ帰らない。途中で喫茶店に寄るのだ。 続きを読む

映画『ウィンストン・チャーチル』――「言葉」の力で世界を救った27日間を描く

ライター
倉木健人

尊敬するリーダー1位

 世界最大級のコンサルティング&監査法人であるPWC(プライスウォーターハウスクーパース)。
 同社が2013年に実施した「世界のCEOが尊敬するリーダー」で1位に輝いたのが、かつての英国宰相ウィンストン・チャーチル(1874-1965)だった。
 そのチャーチルが首相に内定する1940年5月9日から、下院で演説する6月4日までの27日間を描いたのが本作である。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第43回 「不便益」という思想

作家
村上政彦

 人が便利さを求めるようになったのは、いつごろからだろう。考古学が教えるところでは、まず、人は石器を手にし、ついで青銅器を持ち、やがて鉄器を使うようになった。これは、より便利な道具を求めるようになったと考えられる。
 しかしもっと遡ると、人が両手を自由に使うようになったのは、やはり、便利さを求めてのことだったろうから、人類は発生してから間もなく、本能的に便利さを追い求めてきたといってもいいのではないか。
 すると、「不便益」というアイデアは、実は、かなり壮大な転換の兆しなのかもしれない。 続きを読む