解散総選挙に合わせた出版
1969年の暮れには、第32回衆議院選挙が予定されていた。
8月になると、当時、保守派の論客として名を売っていた藤原弘達(ふじわら・ひろたつ)が『創価学会を斬る』と題する本を出版するという予告ポスターが大々的に出た。
藤原の本は、大上段に構えたタイトルとは裏腹に、歪んだ憶測や風評を並べ、学会員とりわけ婦人部を侮蔑するような内容に満ちたものであった。創価学会本部に対する一片の取材もおこなわないまま、部下に口述したものを出版社にまとめさせるという安易なもの。評論家の大宅壮一は、
〈きわめてぞんざいな方法である。これではキワモノ出版といわざるを得ない。〉(『現代』70年3月号)と、痛烈に非難している。 続きを読む