第12回 修大行(1)
[1]四種三昧①
前回までで第一章の大意の中の第一の発大心の説明が終わった。次に第二の修大行を説明する。
ここでは、常坐、常行、半行半坐、非行非坐の四種三昧(※1)を説いている。これらの名称は、修行の際の身体の形態(身儀)に基づいたものであり、内容的には、順にそれぞれ一行三昧、仏立三昧、方等三昧・法華三昧、随自意三昧と呼ばれる。『摩訶止観』では、それぞれの三昧について、身の開・遮(許可と禁止)、口の説・黙(説法と沈黙)、意の止・観(止と観)という具体的な修行の方法を示し、さらに、修行を勧める段が設けられている。
人間の行為全般を、仏教では行・住・坐・臥の四種に分けることがある。行は歩むこと、住は立ち止まること、坐は座ること、臥は横になることである。このなかで、四種三昧は、行と坐を選んでいる。坐は坐禅に相当する。行はたとえば仏像の周囲を歩むことを意味する。この坐と行を折衷したものが半行半坐であり、坐と行に限定されない、その他のあらゆる日常の行為が非行非坐と呼ばれる。この四種三昧は、現在も日本天台宗の一部では修行されており、それについての報告も読むことができる(※2)。 続きを読む