新型コロナウイルス特集②――〝陰謀論〟を語る人々

ライター
松田 明

葬祭関係者がデマを否定

 3月19日に出された専門家会議の『新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言』は、依然として今後「爆発的な感染拡大を伴う大規模流行」の恐れがあることを警告しつつ、現時点で日本が、

 この感染症を一定の制御下に置くことができていることが、諸外国との患者発生状況と死亡者数の差につながっている

と指摘している。
 日本での死亡者数の拡大がきわめて緩やかになっているにもかかわらず、日本政府がPCR検査を絞ることで感染者数を低く偽装しているなどと主張することは、あまりにも馬鹿げている。
 連日のようにワイドショー等に出演していた医師が、3月17日に「火葬場が、いつもの2割増しくらいで忙しい、と聞きました。何故でしょうね?」等とツイッターに思わせぶりな投稿をした。 続きを読む

新型コロナウイルス特集①――「日本型対策」の成果は?

ライター
松田 明

強硬措置が始まった欧州

 新型コロナウイルスの感染拡大が確認されて以降、米国のジョン・ホプキンス大学システム科学工学センターは、リアルタイムの感染状況のビジュアルと併せて「感染者数」「死亡者数」「回復者数」を特設サイトで公表している。
 それによると、日本時間の3月24日午前時点で、世界全体での死亡者数は1万4千人を超えた。
 最初に感染が確認された中国では3月14日時点で感染者の約7割が退院し、1日あたりの新たな感染者数が減少傾向にある。
 中国国家衛生健康委員会は、武漢市を含む湖北省の感染者数が、3月18日に初めて「ゼロ」になったことを発表し、感染の抑え込みが奏功していると自信を示した。 続きを読む

危機における政党の真価――シビアな判断下した国民

ライター
松田 明

急落した立憲の支持率

 共同通信社が3月14日~16日に全国電話世論調査を実施した。
 安倍内閣の支持率は49・7%と、2月の調査から8・7ポイント上昇。不支持率は8ポイント減って38・1%となった。
 新型コロナウイルスへの政府の対応については、「評価する」が48・3%。
 小中高等学校への休校要請については、「適切」「どちらかといえば適切」が合わせて71・8%となった。
 一方、時事通信社が3月6日~9日に個別面接方式で実施した調査では、各政党支持率が以下のようになった。カッコ内は前月との比較。

 自民党   24・0%(-0・3)
 立憲民主党  3・5%(-2・1)
 公明党    3・5%(+0・7)
 共産党    1・6%(±0)
 日本維新の会 1・3%(±0)
 れいわ新選組 0・7%(-0・2)
 社民党    0・5%(+0・3)
 国民民主党  0・4%(-0・1)
 N国党    0・1%(-0・1)
 支持なし  62・4%(+1・8)
(「時事通信」世論調査3月13日)

続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第87回 犬が家族になるとき

作家
村上政彦

 僕は、子どものころから家で犬を飼っていて、結婚して家を出るまで、犬のいなかったことがなかった。ところが上京して妻と暮らすようになったアパートはペットを飼うことができなかったので、長く犬のいない生活を送ることになった。
 犬がそばにいないので、犬の映画を見たり、犬が主人公の本を読んだりするようになった。そのなかで、名作だとおもったのが、『ハラスのいた日々』だ。著者は、ドイツ文学者の中野孝次。翻訳だけでなく、小説、エッセイ、批評の執筆と幅広く活躍した。
 ハラスは、子どものいない中野夫妻の家に来た犬のことだ。「HARAS」(ハラス)――ドイツ人が大型のシェパードにつけることが多い名だという。思いがけず庭付きの家を新築することになり、義妹にお祝いは何がいいか、と訊ねられ、ふと、犬がいい、と応えた。
 やって来たのは、大型のシェパードではなく、柴犬の子どもだった。中野は、散歩の相棒にと軽く考えていたのだが、そのうち「たんなる犬以上の存在」になった。作品は、小説仕立てで、その過程をすぐれた文章で綴っていく。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第86回 生きるための詩

作家
村上政彦

 このところずっと手元に置いて、ちょっとした時間があると読み返している本がある。若松英輔の『詩と出会う 詩と生きる』だ。「NHKカルチャーラジオ文学の世界 詩と出会う 詩と生きる」という番組のテキストとして書き下ろされたものに、「薄い本一冊分ほど加筆」された本である。
 もともとラジオ番組のテキストだったということで、とてもわかりやすい。しかし内容は、深い。詩を学びたい人には、いい仕上がりになっている。
 僕は、若いころ詩を読んでいたし、書いてもいた。いまからおもえば、極めてつたないものだったが、書きたい意欲があふれていて、書かずにはいられなかった。好きな詩人は、中原中也と立原道造で、つまりは、そういう甘い、感傷的な抒情詩を書いていたのだ。 続きを読む