2019参院選をふりかえる(下)――ポピュリズムの危うさ

ライター
松田 明

「自分ファースト」の野党

 あれだけ「年金制度」と「消費税」で国民の不安を煽り立てながら、野党は有権者の票を集めることができなかった。
 投票率は過去2番目の低さとなったうえ、共同通信の出口調査では10代から70代以上までの全世代で、与党に投票した人が上回る結果となった。
 2012年の民主党政権下で「税と社会保障の一体改革」をおこなった張本人たちが、今になって声高に年金不安や消費増税反対を叫ぶ無責任な姿を、有権者は冷ややかに見ていたのだろう。 続きを読む

2019参院選をふりかえる(上)――バランスを求めた有権者

ライター
松田 明

 令和初の国政選挙となった第25回参議院議員選挙が終わった。
 投票が締め切られた午後8時ほぼジャストに、NHKの開票速報がまず公明党の山口那津男候補(党代表/東京選挙区)の「当確」を発表。各メディアは出口調査の結果から早々に「与党勝利」と報じた。
 最終的に自民党・公明党の与党が、改選議席の過半数(63)を上回る71議席を獲得し、安定した政権基盤を維持。
 対する野党は、立憲民主党が8議席増の17議席となったが、国民民主党は2議席減の6議席。共産党も1議席減の7議席にとどまった。
 選挙結果について、いくつかの視点から検証してみたい。 続きを読む

2019参院選直前チェック④終――政治を変える現実策とは

ライター
松田 明

バラ色の公約は守られたか

 2009年8月の総選挙で1政党としては戦後最多の308議席を獲得して政権の座に就いた民主党。
 政権交代の実現に喝采し、期待した国民も多かった。
 では、民主党が2009年8月の総選挙で掲げた公約は、政権の座にあった3年4ヵ月のあいだで、どれだけ達成されたのだろうか。
 これについては、当時の民主党自身が馬淵澄夫政調会長代理(当時)の作業チームによって検証し、結果を公表している。

 約160の政策を「実現」「一部実施」「着手」「未着手」の4分類で評価。「実現」は約3割にとどまった。(『日本経済新聞』2012年10月26日

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2019参院選直前チェック③――争点は「安定か混乱か」

ライター
松田 明

年金を政争の具にする野党

 参議院選挙の本当の〝争点〟は、はたして何だろうか。
 作家の佐藤優氏は、

参議院議員選挙の争点は、どの論点についても最終的に「安定か混乱か」という問題に収斂(しゅうれん)する。(『産経新聞』7月14日)

と言い切る。
 たとえば立憲民主党の辻元国対委員長などは、年金問題をことさらに強調し、

年金は安心だという安心安心詐欺じゃないか。これは最大の参議院選挙の争点になるんじゃないかと思います。(「日テレNEWS」6月11日)

と煽ってきた。
 だが、佐藤氏は前述の産経新聞で、こうした旧民主党系の野党の主張をバッサリ斬る。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流
第36回 沖縄伝統空手道振興会 新垣邦男・新理事長インタビュー

ジャーナリスト
柳原滋雄

 2008年に沖縄空手の有力4団体で結成された連合組織・沖縄伝統空手道振興会(豊見城市)。これまで各種国際セミナーの開催をはじめ、沖縄空手会館の運営などにも携わってきた。このほど喜友名朝孝・前理事長の任期を引き継ぎ、歴代4人目の理事長に就任した北中城村(きたなかぐすくそん)の新垣邦男(あらかき・くにお 1956-)村長に、振興会の今後の課題などについて聞いた。(取材 2019年6月27日) 続きを読む