特集⑫ 山崎正友の謀略――山崎を「軍師」と仰いだ僧侶たち

ライター
青山樹人

「マッチポンプ」を仕掛ける

 日蓮正宗の内部では、1976年頃から、日達を師僧として得度した若手僧侶たちの先鋭化した動きが活発になってきた。
 山崎正友は妙信講問題の対応で本山に出入りしていく時期に、このうちの一人である浜中和道と親しくなっていた。
 もちろん山崎に人間としての信義などあろうはずもなく、最終的に浜中は山崎に利用されるだけ利用されたあげくに使い捨てられ、さらに自分の女房を山崎に奪われるという裏切りに遭う。
 この浜中が日達上人の側近であったことに山崎は目をつけた。浜中を介して宗門中枢に食い込む一方、そうした若手僧侶のなかにくすぶっていた反学会感情を手玉に取り、池田会長や学会が宗門を軽視しているかのような〝情報〟を吹き込んで籠絡(ろうらく)していったのである。
 まともな人間なら、顧問先を裏切るような弁護士など信用しない。だが、世間知らずの若い出家たちは、山崎を「軍師」と呼んで喜んで迎え入れた。
 山崎は、学会顧問弁護士という立場を最大限にカモフラージュに利用した。宗門内部には〝学会が宗門を支配しようとしている〟という話を入れる。
 山崎のやったことは、自分でマッチを擦って放火をしながら、誰かが火をつけたと喧伝し、平然と消防士の顔をしてポンプで水をかけるふりをするという〝マッチポンプ〟だったのである。
 山崎は、その火をつける道具として雑誌メディアに目をつけた。77年7月になると、『週刊新潮』(7月28日号)が、「メッカ大石寺が創価学会と喧嘩して参詣者ただ今ゼロ」と題する記事を掲載した。山崎が仕掛けたデマ報道である。
 この年の夏頃から、山崎は創価学会の顧問弁護士でありながら、その創価学会を陥れるさまざまな情報操作を仕掛け、これを複数の週刊誌編集部に密かにリークしていったのである。
 騒ぎのないところに火種をつくっては、自分で週刊誌に情報を流して書かせ、大きな煙を出す。そのたびに、学会に反感を持つ僧侶たちは勢いづき、学会首脳は対応に苦慮する。その結果、ますます山崎が動かなければ事態が好転しないかのような状況をつくり上げていったのだ。

自作の「ある信者からの手紙」

 山崎の狙いどおり、反創価学会の動きは宗内に拡大する。寺院の御講や葬儀という席で、住職が週刊誌片手に池田会長や創価学会を公然と罵るような事態が急増していった。
 これに対し、池田会長は広宣流布の指導者として、どこまでも忍耐強く対応し、学会員を守るべく僧俗和合へと努力を重ねた。
 しかし1978年の1月、山崎が仕掛けた一通の文書によって、宗門の創価学会攻撃の火の手は一気に燃え上がった。
 山崎は浜中和道を通じて、日達に信徒からの投書を装った怪文書を提出したのである。のちに「ある信者からの手紙」と称されるもので、もちろん山崎の自作であることが裁判で証明されている。
 この文書は、池田会長が宗門に誠実な姿を装いながら、陰では宗門と法主を誹謗し、宗門を支配して吸収することを最終目的としている等と、不信感を煽り立てるものだった。
 さらに、学会に対する〝強攻策〟を提案し、「教義逸脱」を口実に学会を追いつめ、脱会者を誘って寺院直属の檀徒づくりを進めるよう具体的に進言までしていた。
 この「ある信者からの手紙」は、日達も出席して総本山で開かれた僧侶の集会の場で読み上げられ、宗内には反創価学会、反池田会長の空気が拡大した。
 これを機に、宗内でも反創価学会の急先鋒にあって、のちに「正信会」と自称する若手僧侶の一団は、独自の行動を起こすようになる。
 78年3月。山崎はさらに「今後の作戦」と称する謀略文書を提出した。
 その指示どおり、反学会僧侶らは学会の公式・非公式のあらゆる出版物に出ている仏教用語の使われ方について、難癖を探し出した。そして30数項目にわたって「教義上の逸脱」だとして学会に突きつけた。
 山崎は素知らぬ顔で学会首脳に対し、これらについて宗門側が満足する回答を示せば全国で起きている理不尽な学会攻撃は収まると伝えた。
 宗門からの言いがかりは、まさに屁理屈を重ねた難癖だったが、78年6月30日付の聖教新聞に「教学上の基本問題について」と題する記事が掲載された。学会としては会員を守るため、一刻も早い事態の収拾を望んだのである。
 だが、すべてが山崎の織り込み済みの謀略だった。記事掲載を待っていた山崎は、すかさず「創価学会に教義の逸脱があった」とする解説文を週刊誌メディアに送り、批判のしかたまでレクチャーして、いっせいに書き立てさせたのである。
 単なる用語の些細な問題に過ぎなかったことを、山崎は宗教の根幹に関わる問題であるかのようにすり替え、学会に訂正を呑ませた。
 学会が訂正するのを見越して、今度は〝創価学会が教義の逸脱を認めた〟とデフォルメして週刊誌に大々的に騒がせ、反学会僧侶を勢いづかせて、学会員に動揺を与えるという山崎の奸計であった。

※この記事は『最新版 世界広布新時代への飛翔』(青山樹人著/鳳書院)をベースに加筆修正したものです。

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あおやま・しげと●著書に『宗教はだれのものか』(2002年/鳳書院)、『新装改訂版 宗教はだれのものか』(2006年/鳳書院)、『最新版 宗教はだれのものか 世界広布新時代への飛翔』(2015年/鳳書院)など。WEB第三文明にコラム執筆多数。