コラム」カテゴリーアーカイブ

「忘れない」の誓い、今こそ――東日本大震災から9年 被災地の今を歩く(上)

フリーライター
峠 淳次

 かつて仮設のプレハブ住宅が立ち並んでいた宮城県石巻市の「追波川(おっぱがわ)河川運動公園」。ようやく仮設暮らしに別れを告げ、今は隣接する災害公営住宅(復興住宅)に暮らすお年寄りが寂しげにつぶやく。「何だか忘れられ、置き去りにされていくようでね。それが、一番つらく悲しい」――。東日本大震災から9年が過ぎた東北三陸沿岸の街々。道路や堤防などハード面の復興が進み、新しい街の形が姿を現しつつある中、「災後」を生きる人々は何を思い、どう暮らしているのだろうか。光と影が交錯する被災地の今を歩いた。 続きを読む

新型コロナウイルス特集⑥――一律10万円の現金給付へ

ライター
松田 明

「緊急事態宣言」全国へ

 4月16日の夕刻、安倍首相はこれまで7都府県に発令していた「緊急事態宣言」の対象地域を、5月6日まで全国に拡大する旨を発表した。
 現時点で日本における新型コロナウイルスの死亡者数は低く推移してはいるが、まだ感染拡大の初期にあるというのが多くの専門家の認識だ。
 前日の15日、厚生労働省のクラスター対策班からは、かなり衝撃的な数字が発表された。

 新型コロナウイルスの感染防止策を何も行わなかった場合、流行が終わるまでに国内で約85万人が重篤な状態となり、半数の約42万人が死亡するとの推計を、厚生労働省のクラスター対策班が15日、明らかにした。政府は外出自粛要請などの対策を既に取っており、実際にこれだけの死者が出るとは考えにくいが、警鐘を鳴らす狙いがある。(「共同通信」4月15日)

 4月末からの大型連休を前に、「緊急事態宣言」が発令されている地域と発令されていない地域があることは、かえって人々の安易な移動を促し、地方への感染拡大に拍車をかけかねない。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流 第46回 特別編⑤(最終回) 沖縄県空手振興課長インタビュー

ジャーナリスト
柳原滋雄

 沖縄県の空手振興課長が交代した。「異例」となる4年間の任期を終えた山川前課長からバトンを引き継いだ佐和田勇人課長に、これまでの歩みと展望について聞いた。(取材/2020年4月3日) 続きを読む

新型コロナウイルス特集⑤――本領を発揮する公明党

ライター
松田 明

他の政党にはない能力

 公明党が「災害対策」に見せる能力について、地方自治体の首長らからも率直な評価や称賛を受けてきたことを以前に紹介した(前掲記事「『災害対策』に強い公明党――自治体首長らの率直な評価」)
 近年でも2016年に2度の震度7を経験した熊本県の蒲島郁夫知事は、

 熊本地震のときに、もしも自民党の単独政権だったとしたら、私は〝自分のことは自分でやれ〟という新自由主義的な対応に傾く恐れがあったと思っています。公明党は伝統的に福祉や平和、弱者への配慮など、社民主義的な要素を持っておられます。熊本地震で熊本県は、負担の最小化と被災地への最大限の配慮、そして創造的復興という哲学を求めました。それらを政府に認めてもらえたのは、ほかでもなく公明党が政権内にいたからでしょう。(『第三文明』2019年8月号)

と語っている。 続きを読む

新型コロナウイルス特集④――「緊急事態宣言」が発令

ライター
松田 明

史上最大規模の経済対策

 4月7日の夕刻、安倍首相は「緊急事態宣言」を発令した。
 この対象となったのは、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県だ。
 3月27日午後の参議院本会議で、2020年度予算が成立。
 ここから補正予算の編成に入ることができ、7日の閣議では総額約108兆円となる史上最大規模の「緊急経済対策」を決定した。
 雇用の維持に向けて、雇用維持を図りながら一時的休業をする企業へ向けた雇用調整助成金の拡充(中小企業で休業手当の5分の4、大企業で3分の2まで助成率をアップ)。
 さらに雇用を続ける企業には、中小企業で休業手当の10分の9、大企業で4分の3まで助成率を引き上げた。
 売り上げが5%以上減少した中小企業やフリーランスを含む個人事業主を対象にした融資の金利を、今後3年間0%台に引き下げ。
 とりわけ厳しい企業には、中小企業で上限1億円まで利子分を国が補填し、実質無利子で借りられるようにする。
 また、売り上げが5%以上減った個人事業主も、3000万円まで無利子で融資を受けられることになった。 続きを読む