哲学部長の感嘆
1994年5月、池田SGI会長はモスクワ大学で2度目の講演をした。
最初の講演は1975年。まだ東西冷戦の渦中で、とりわけ米中と日中の国交正常化によって、ソ連が国際社会から孤立していた時期だった。
2度目の時にはソ連が崩壊し、ロシアに変わって日の浅い混沌の時期だった。
この講演で、会長は「すべては人間に始まり、人間に帰着する」ことを語り、大乗仏教の精髄の法理を「規範性」「普遍性」「内発性」の3つに即して展開し、トルストイの文学と交錯させながら論じた。 続きを読む
1994年5月、池田SGI会長はモスクワ大学で2度目の講演をした。
最初の講演は1975年。まだ東西冷戦の渦中で、とりわけ米中と日中の国交正常化によって、ソ連が国際社会から孤立していた時期だった。
2度目の時にはソ連が崩壊し、ロシアに変わって日の浅い混沌の時期だった。
この講演で、会長は「すべては人間に始まり、人間に帰着する」ことを語り、大乗仏教の精髄の法理を「規範性」「普遍性」「内発性」の3つに即して展開し、トルストイの文学と交錯させながら論じた。 続きを読む
192ヵ国・地域にひろがる、世界最大の在家仏教教団である創価学会インタナショナル(SGI)。
この地球を包む民衆の連帯をつくりあげた池田大作SGI会長が、19歳で戸田城聖・創価学会第2代会長と出会い、創価の「師弟の道」を歩み始めたのは1947年8月のことである。
終戦からまだ2年の夏。すべては、ここから始まった。
今月で70年の佳節を刻むにあたり、この間に池田会長という一人の人間が何を成し遂げてきたのか。その軌跡を3回にわたって概観したい。 続きを読む
県民の4分の1が犠牲になったとされる「沖縄戦」――。その凄まじい局地戦において犠牲になったのは、多くが民間人の女性や子どもたちだった。本書は2016年に発刊された、当時、成人に満たなかった女性を中心とする14人による戦争体験集。
沖縄がこの戦争の本格的な舞台となったのは1945年3月。米軍が本島への大規模攻撃を開始し、6月23日に牛島司令官が自決するまで、苛烈な戦闘が続いた(現在、6月23日は「沖縄慰霊の日」となっている)。 続きを読む
生前に功成り名を遂げ、あるいは権勢を誇ったものの、没して時間を経るごとに世の記憶から消えていく人物というのは、実際あまりにも多い。
反対に、ひそやかに生涯を終えながら、時代と共にその生きた軌跡と残された思想が燦然と輝きを帯び、世界に大きな影響を与えていく人間が、稀に存在する。
牧口常三郎は、まぎれもなくそうした稀有な1人であろう。 続きを読む
少し前のこのコラムで吉田健一の食にまつわるエッセーと短篇小説を取り上げた。しかし彼の書くものは、そればかりではない。デビューしたころは批評家として活躍したし、のちになって長篇小説も書いた。
『東西文学論』は、彼の代表的な評論だ。明治以降に日本人がどのようにヨーロッパから文学を受けとめたかを論じているので、近代の見直しを迫られているいま、新しい時代を考える参考になる。 続きを読む