投稿者「web-daisanbunmei」のアーカイブ

自公連立政権7年目②——首相の巧妙な戦術

ライター
松田 明

「安倍劇場」のはじまり

 自民党内には、高まっているナショナリズムを吸収することで選挙に勝ち、民主党から政権奪取を図ろうとする思惑があった。その一方で、石原慎太郎氏に象徴されるような〝極右勢力〟が橋下徹氏の人気に便乗して勢いを急速に増していることへの、強い警戒感があったのだと思う。
 総裁選のわずかな期間中に、自民党内では下馬評の低かった安倍氏に有力派閥の支持が移動し、最終的により右寄りな石破氏ではなく、公明党との連立政権を一度経験している安倍氏を総裁に選んだ。 続きを読む

自公連立政権7年目①——政権交代前夜の暗雲

ライター
松田 明

24年で17人の首相

 2012年12月26日に再発足した自公連立政権は、いよいよ7年目に入った。
 第1次安倍内閣と合わせると、安倍晋三氏の首相在職日数は2019年2月23日で戦後2位の2617日になる(1位は大叔父にあたる佐藤栄作氏の2798日)。
 元号が平成に変わった時点の首相は竹下登氏だったが、そこからは毎年のように首相の顔が変わった。第2次安倍内閣ができるまでの平成の24年間で首相は17人だ。
 サミットのたびに日本のリーダーが変わっていたことを考えると、第2次安倍内閣以降の安定した長期政権は、内政でも外交でも腰を据えた政策遂行を可能にしてきた。 続きを読む

【書評】佐藤優著『21世紀の宗教改革――小説『人間革命』を読む』

ライター
本房 歩

 この数年、著者の佐藤優は精力的に創価学会や公明党に関する著述に取り組んでいる。それらのなかで、とくに2つのことを強調している。
 1つは、公明党がこれまでとは異なり、税制や外交、安全保障政策といった国の中枢にかかわる意思決定権者に加わったこと。
 もう1つは、日本で誕生した創価学会が本格的に「世界宗教化」していること。
 本書『21世紀の宗教改革――小説『人間革命』を読む』を読むと、この現在進行形の2つの出来事が、あたかもコインの裏表のような関係にあるということがよくわかる。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流
第24回 沖縄県空手振興課長インタビュー(下)

ジャーナリスト
柳原滋雄

インタビュー「上」はこちら

第1回沖縄空手国際大会の教訓

――8月の国際大会は多くの教訓を残した大会だったと思います。どのように総括しておられますか。

山川哲男課長 私たちは今年8月の大会は、過去の大会と比べても成功したと思っています。世界50の国と地域から延べ3200人の空手家が集まったのは画期的でした。空手の先生方から言わせると、今回の大会のよさがSNSなどで広がったので、次の大会は1.5倍から2倍の参加者があると予測しています。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第64回 日本の小さな本屋さん

作家
村上政彦

僕が文学と出会ったのは、近所の小さな本屋さんだった。このコラムでも何度か書いている気がする。成長して街場へ出掛けるようになったとき、大型書店へ出入りするようになった。
最初、友人と一緒に出掛けたのだが、彼がそれほどの本好きではないかことが災いして、すぐに帰ろうと言い出す。僕は宝の山へ踏み入ったトレジャーハンターのようになっているので、何を言っているのだという気持ちになる。で、結局、彼は怒って帰ってしまった。 続きを読む