第100回 正修止観章 60
[3]「2. 広く解す」 58
(9)十乗観法を明かす㊼
⑩知次位(1)
今回は、十乗観法の第八、「知次位」(次位を知る)の段の説明である。「次位」は、修行の階位の意味である。修行の階位を知らないと、まだ悟っていないのに悟ったと思い込む増上慢に陥る危険性があるとされる。したがって、修行者に正しく階位を知らせる必要があるのである。 続きを読む
⑩知次位(1)
今回は、十乗観法の第八、「知次位」(次位を知る)の段の説明である。「次位」は、修行の階位の意味である。修行の階位を知らないと、まだ悟っていないのに悟ったと思い込む増上慢に陥る危険性があるとされる。したがって、修行者に正しく階位を知らせる必要があるのである。 続きを読む
ローマ教皇は、世界に14億人の信徒を擁する宗教・カトリックを代表する存在である。
著者の山本芳久氏は、東京大学大学院の教授で、中世の哲学者・神学者トマス・アクィナス研究の第1人者であり、またアリストテレスやイスラム教、ユダヤ教などの研究でも知られる。
本書『ローマ教皇 伝統と革新のダイナミズム』は、ベネティクト16世(在位2005年-2013年)、フランシスコ(在位2013年-2025年)、レオ14世(在位2025年-)といった現代のローマ教皇の宗教文書を読み解くことによって、これまで日本で知られていなかった実像に迫るものだ。
我が国のキリスト教の信徒は全人口の一%程度に過ぎないのであるから、キリスト教の根本精神とは何かというような観点が表に出てこないのはある意味当然のことかもしれないが、それでは教皇について的確に理解することはできない。(本書70~71ページ)
2025年に行われた教皇選挙(コンクラーベ)は、同時期に映画『教皇選挙』が上映されたこともあり、日本でもこれまでにない関心を集めた。またローマ教皇の時局に対する発言がニュースでとりあげられることも少なくない。
しかし、その発言の根に流れるカトリックの教義や伝統に目を向けられることはない。いわば「宗教的脱色」をされた形でしか報道されることはなかった。これでは教皇の発言の真意は理解されず、ミスリードがおきかねない。 続きを読む
山下澄人(やました・すみと)著/第156回芥川賞受賞作(2016年下半期)
山下澄人の作品が初めて芥川賞候補になったのは、2012年。その後、立て続けに候補となり、2016年、4回目の候補作「しんせかい」で芥川賞を受賞。当時50歳。その20年前の1996年には「劇団FICTION」を立ち上げ、今に至るまで主宰しているので、小説よりも演劇活動の方が長い。
「しんせかい」は、有名な脚本家が北海道に設立した演劇塾が舞台だ。語り部は、作者と同名の「スミト」なので、私小説と言っていいだろう。作者のプロフィールを見ると、確かに2年間、その演劇塾に在籍している。
物語は、俳優と脚本家を夢見る若者たちが、何もない北海道の大地の中で、共同生活をするための建物を建て、生活費を稼ぐために農作業に従事し、その合間を縫うように演劇の勉強をする。そこでの生活は、周辺の地元民からは「収容所」と呼ばれるほどの過酷なものだった。
もちろん小説であるから実体験と創造が入り混じっていることは当然だとしても、実在した演劇塾に対する興味は読者としてかき立てられる。ところが、物語としての本作品は、極めて淡白なのだ。 続きを読む
10月20日、自由民主党と日本維新の会が〝連立政権〟を樹立することで正式に合意し、両党首が「連立政権合意書」に署名した。
従来、閣僚を出さない場合は国際的にも「連立」とは呼ばない。これまでの教科書とも整合性がとれなくなる。それでも両党が「連立」という呼称にこだわっているのは奇妙な話である。
ともあれ、これによって本日21日に臨時国会が召集され、首班指名選挙の結果、自民党の高市早苗総裁が内閣総理大臣に指名された。
憲政史上初めての女性の内閣総理大臣の誕生であり、女性の社会進出を不当に阻んできた〝ガラスの天井〟が国政の場で破られたことは意義深い。
初の女性首相の登場によって、社会のあらゆる場面で今以上に女性リーダーが登用され、活躍しやすくなる社会になることを願っている。
その意味でも、国民の1人として、まずは高市氏の首相就任に率直な祝意をお贈りしたい。 続きを読む
このほど第三文明社から『知っておきたいメンタルヘルスの話』(大白蓮華編集部編)が発刊された。
これは、聖教新聞社発刊の『大白蓮華』に連載された「誌上座談会『福徳長寿の智慧』に学ぶ」(第3回、第4回、第15回~第31回)をもとに加筆・編集し、さらに同誌連載の「希望のカルテ」(2024年7月号~2025年6月号)を、コラムとして加筆・編集したもの。
本書で言う「メンタルヘルス」とは、いわゆる「こころの病気」である。
医療従事者である創価学会ドクター部や創価青年医学者会議のメンバーに加え、回によっては公認心理士、臨床心理士、さらに創価学会の西方青年部長も座談の輪に加わっている。
創価学会の信仰は、科学的知見や医学の立場を軽視しない。むしろ、それらの知見を重視し、適切な対処法や治療法を尊重して、そのうえで仏法者として「生老病死」の現実にどう向き合っていくかを説く。 続きを読む