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小池知事〝笑顔の握手〟のワケ――「改革」支持した都議会公明党

ライター
松田 明

「連立解消」の衝撃

 日ロ首脳会談が行われた12月15、16日の両日、それとは別にメディアが大きく取り上げたニュースがあった。
 15日に東京都議会が閉会したあと、都議会各会派へのあいさつに回った小池百合子知事が、自民党と公明党に対照的な態度を見せたというもの。16日のTBS系「ひるおび!」は、正午からのトップ項目でこれを大きく扱った。

 ことの発端は、小池知事の進める議員報酬削減などをめぐる「都議会あり方検討会」を前に、14日午後に非公開でおこなわれた議会運営理事会だった。
 改革に反対する自民党が、改革に積極的な公明党を名指しして「信義が崩れた」と非難。公明党が独自に掲げている改革案(『都議会公明党 3つの挑戦』)を取り下げるか、さもなくば検討会から外れろと迫ったという。
 理事会終了後、記者団に囲まれた都議会公明党の東村邦浩・幹事長は、

 今まで自公という連立で一貫してやってきたが、ここまで公明党との信義が崩れたと検討会でも名指しで言われましたし。自民党との信義という観点で今までやってきましたが、これは完全に崩れたと思っていただいて結構です。

 公明党としては腹を決めて、独自で改革を進めていきます。

と、厳しい口調で語った。

エール交わした小池知事

 都議会第4回定例会の最終日となった翌15日。議案採決に先立つ討論で、自民党は小池知事の都政運営を「パフォーマンス」等と批判した。
 一方、公明党は「知事の障害者政策は公明党の主張と合致する」「知事が率先して東日本大震災の被災地を支援していることを高く評価する」と述べ、

 議会改革も必然であり、議員報酬などの削減による身を切る改革を決意する。(松葉多美子都議の討論演説)

と、従前から示していた改革への方針をあらためて主張した。
 閉会後、小池知事は自民党へのあいさつでは握手もなく十数秒で退出したのに対し、公明党控室ではにこやかに全員と握手し、改革へのエールを交わし合った。

 (公明党には)都民ファーストの政治に大変共鳴して、そしてそれに建設的な意見も述べていただいている。都政をもう一度活性化していくため、その意欲は大変歓迎したいと思います。(小池知事/同日・15日の会見で)

都政から国政を動かす

 この出来事の背景には何があるのか。
 国政では、今や連立の安定したパートナーとして外交、安全保障、税制にも存在感を見せる公明党。じつは東京都議会は、「大衆とともに」という理念のもと、1955年(昭和30年)の統一地方選で公明系の候補が初めて議席を得た〝党の原点〟でもある。
 しかも、国政で長く野党だった時代には、都議会から国政を動かしてきた自負が公明党にはある。

 たとえば子育て支援の象徴でもある「児童手当」は、国政の場で公明政治連盟(公明党の前身)が1963年から重点政策に掲げていた。だが、法案を提出しても政府は実施に応じようとしない。
 そこで69年、都議会公明党が国に先んじて都独自の「児童手当」を実現させる。東京での実施は他の自治体へも波及し、71年、ついに国会でも「児童手当法」が成立したのだった。
 公明党が国政で連立に加わって以降は、さらに制度が拡充。今や中学生まで含め1734万人(2014年度)が受給対象となっている。
 このほかにも、

 駅や都営住宅、バスのバリアフリー化
 がん対策(拠点病院等の拡充)
 ハイパーレスキュー隊の創設
 中小企業への融資制度
 新公会計制度(財政の見える化)

など、都議会公明党が国をリードする形で実現させてきたと自負する政策は多い。
 与党時代も野党時代も、さして巨大政党ではない公明党が、一貫して国政に多くの実績を積み上げてこられた背景の1つは、都議会など地方議会で新しい制度を地道に実現させ続けてきたからなのだ。
 公明党にとって東京都議会は、国政にも増すほど重要な〝勝負〟の場。大統領制に似た都政では、とりわけ知事との連携なくして政策の実現は難しい。おごり高ぶって知事や他党を見下す都議会自民党に、三下り半を突きつけたのは当然のなりゆきだった。
 127議席中60議席を占め、知事と敵対する都議会自民党。第2勢力である公明党が旗幟を鮮明にしたことで、年明け2月から始まる都議会のゆくえに、さらに注目が集まるだろう。

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