コラム」カテゴリーアーカイブ

維新に噴出した「国保逃れ」――あまりに姑息な〝脱法的運用〟

ライター
松田 明

議員の社会保険料をごまかす手口

 政権与党の一部に、所属議員たちが〝かぎりなくグレーな手法〟で健康保険料逃れをしていた疑惑が浮上している。
「身を切る改革」を声高に訴え、「社会保険料を下げる改革」を掲げている日本維新の会。その維新の地方議員のなかに、「一般社団法人の理事」に就くことで社会保険料の負担を低く抑えている者が複数いることが判明した。
 しかも、この手口を宣伝して勧誘している悪質な「一般社団法人」の代表理事も、維新関係者だというのだ。

 この問題が大きく注目を浴びたきっかけは、12月10日の大阪府議会定例会。占部走馬府議(自民党)の一般質問だった。
 占部府議は、「フリーランス 社会保険」で検索すると出てくるというネット広告を議場のモニターに提示したうえで、次のように問うた。

 通常、個人事業主や企業に属さない方は国民健康保険に加入していますが、この広告にあるように、一定の所得以上の方が最低額の社会保険に加入して、その費用を抑える手口があるようです。
 その手法は、一般社団法人の理事に少額報酬を支払い社会保険加入資格を得させる、実質的な制度の悪用であります。
 保険料を下げたい、厚生年金に入りたいフリーランスを集め、法人が理事報酬や取り分、法人負担分の保険料を「協力金」などの名目で徴収し、その資金で最低額の社会保険に加入させるという仕組みです。
 実働はアンケート回答程度で、本来の趣旨をはずれた脱法的運用と指摘をされております。(占部府議の一般質問「大阪府議会定例会」12月10日

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【講演会レポート】高田博厚とベートーヴェン――ロラン著『ベートーヴェン』をめぐる対話

創価大学文学部教授
伊藤貴雄

 第三文明文化講演会「ベートーヴェンと高田博厚」が埼玉県内で開催された(10月26日)。このたび第三文明選書として復刊されたロマン・ロラン『ベートーヴェン』の訳者である彫刻家・高田博厚を記念するもので、同書の解説を記した伊藤貴雄氏が講師をつとめた。
 講演会には、高田の彫刻作品を多数所蔵する埼玉県東松山市を代表して、森田光一市長からメッセージが寄せられ、吉澤勲教育委員会教育長をはじめ多数の来賓が参加した。以下に伊藤氏の講演要旨を紹介する。

Ⅰ 息を吹き返した翻訳

 今から一世紀前の1926年、日本で一冊の翻訳書が刊行された。ロマン・ロラン著『ベートーヴェン』(原題『ベートーヴェンの生涯』)。訳者は当時26歳の彫刻家・高田博厚である。折しもベートーヴェン没後100周年を迎える直前であった。

第三文明選書として復刊した『ベートーヴェン』

 約半世紀後の1977年――没後150周年の年――、同書は第三文明社レグルス文庫として再刊され、さらに本年(2025年)、第三文明選書として三度目の復刊が実現した。三たび世に出たこの一冊は、単なる翻訳の再生ではない。時代ごとに「人間の精神的自由とは何か」を問い直す声が、この書を呼び戻してきたのである。
 今回の復刊には特別な縁がある。筆者の勤務する創価大学では昨年、「ベートーヴェンと《歓喜の歌》展」を開催し、《第九》交響曲ウィーン初演200周年に合わせて、同大学所蔵のベートーヴェン直筆書簡(1815年9月、ブラウフル宛)を公開した。その際、同⼤学創⽴者・池⽥⼤作先⽣(以下、池田)が19歳のときの読書ノート――高田訳『ベートーヴェン』の抜粋――も展示した。 続きを読む

『摩訶止観』入門

創価大学大学院教授・公益財団法人東洋哲学研究所副所長
菅野博史

第105回 正修止観章 65

[3]「2. 広く解す」 63

(9)十乗観法を明かす 52

 ⑭歴縁対境

 「歴縁対境」の段の冒頭には、「縁に歴(へ)境に対して陰界を観ずとは、縁は六作を謂い、境は六塵を謂う」(第三文明選書『摩訶止観』(Ⅲ)、近刊、頁未定。大正46、100中16~17)とある。つまり、縁(外的条件)を経歴し境(対象界)に対して五陰・十二入を観察することについて、縁とは六作(行・住・坐・臥・語黙・作作[仕事の意])を意味し、境とは六塵(色・声・香・味・触・法の六境)を意味するとされる。この段は、さらに「歴縁を明かす」と「対境を明かす」の二段に分けられる。 続きを読む

民意を削る「議員定数削減」――合理的な理由欠く暴挙

ライター
松田 明

「政治とカネ」から論点をすり替える

 12月5日、与党である自民党と日本維新の会は、衆院議員定数を約1割削減するための法案を衆議院に提出した。自民と維新は10月の連立合意で、議員定数1割削減の目標を掲げ、「臨時国会に法案を提出し、成立を目指す」と明記していた。
 ただ、両党の法案には問題点が多すぎるとして、野党はもちろん、新聞各紙や、連立を組む自民党内からも強い批判と疑問の声が上がっている。

 今回の案には、自民が抵抗する「政治とカネ」の改革から論点をすり替える思惑がある。議員歳費などの削減額は限定的だ。
 与党が「身を切る改革」をうたうのであれば、より痛みを伴う企業・団体献金の規制強化や、政党交付金の減額などに踏み込む方が理にかなっている。
 臨時国会の会期は残り2週間を切り、審議時間も限られる。「結論ありき」で拙速に推し進めるようなことがあってはならない。(『毎日新聞』「社説」12月5日

 法案は、現在465の衆議院定数を「45以上」減らすと明記。しかも、与野党協議で1年以内に結論が出なければ、小選挙区25、比例代表20の計45を「自動削減」するという条項を盛り込んでいる。
 この法案の抱えている〝異常〟ともいうべき問題点を整理してみたい。 続きを読む

【道場拝見】第17回 拳龍同志会(下)

ジャーナリスト
柳原滋雄

2人の師匠

 新城孝弘館長が27歳で師事した當真正貴(とうま・せいき 1922-1998)は、松林流の長嶺将真(ながみね・しょうしん 1907-1997)、渡山(とざん)流の兼島信助(かねしま・しんすけ 1897-1973)、少林流の島袋善良(しまぶくろ・ぜんりょう 1909-1969)などから空手を学んだ。広く弟子をとる空手家ではなかったこともあり、事実上、マンツーマンで教えを受けた。

當真先生は通ってくる弟子だけに教えていました。僕が最後の弟子だったから、えらくかわいがってもらった。

 師匠の自宅(沖縄市泡瀬)の居間を稽古場に、週2回通ったという。型や武器の練習をした後は、関節技を中心とする裏技の稽古にも熱心に取り組んだ。
 稽古が終わると空手談義で夜遅くまで語り込むことも多かった。當真師より少し遅れて、久場良男館長にも師事したので、泊手と剛柔流の両方の空手を学んだ。つまり、首里手・泊手と那覇手に通暁する。

僕は流派という概念があまりないわけ

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