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連載エッセー「本の楽園」 第69回 今日の限界芸術

作家
村上 政彦

 かつて、このコラムで、鶴見俊輔の『限界芸術論』について書いた。『今日(こんにち)の限界芸術』は、鶴見の思想をリユースして、芸術の新しい地平を探ろうとする試みだ。念のために、鶴見の説いた限界芸術について触れておく(僕のコラムからの引用です)。

『限界芸術論』において、鶴見は、芸術を3種類に分ける。純粋芸術(Pure Art)、大衆芸術(Popular Art)、限界芸術(Marginal Art)だ。 続きを読む

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沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流 第29回 古武道(上)沖縄で育まれた土着の武器術

ジャーナリスト
柳原滋雄

古武道の2つの系統

 沖縄において「空手と古武道は車の両輪」とはよく耳にする言葉である。だが沖縄空手と古武道の成り立ちは、歴史的にはかなり異なっている。例えば空手の古流型の名称はサンチン、ナイハンチ、パッサイ、クーサンクーなど多くが福建地方なまりの中国語に由来するのに対し、古武道の型は考案した琉球人の名前または地元の地名など、沖縄固有の名称に由来するものが多いからだ。これらは古武道が純粋に沖縄発祥のものとして定着した経緯を指し示している。 続きを読む

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16世紀英国を揺るがした女の戦い――映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』

ライター
倉木健人

波乱の運命に生きた女王

 原題は『Mary, Queen of Scots』。16世紀スコットランドの女王、メアリー・スチュアートのことを人々は愛情を込めてこう呼ぶ。
 英国はもちろん、欧米では人気の高い歴史人物であり、過去にメアリー・スチュアートを題材にした映画は何本も作られている。なんと、あのトーマス・エジソンの会社も1895年に、メアリー・スチュアートの処刑場面を描いた約20秒のショート・サイレント・ムービーを制作していて、これは世界最初の特撮映画だともいわれている。 続きを読む

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第44回「SGIの日」記念提言を読む(下)

ライター
青山樹人

「病者」を「良医」に転換する

 ヴァイツゼッカー博士の言葉を通して、平和の不在を病気に見立てたSGI会長の本意は、〝病に対する治癒〟というアプローチを重視する仏法の視座にある。
 法華経の「良医病子の譬え」に代表されるように、仏法の視点はあらゆる行き詰まりの本質を人間の内側に見て、そこを単に蘇生回復させるだけでなく、病者を良医に変えていく――〝命を救う存在〟へと転換するところにゴールを設定している。
 今回の提言でも会長は、この視座をアングリマーラという元殺人鬼の仏弟子における心の転機になぞらえながら、戦争の悲劇を繰り返さないために、戦争の衝動に駆られる国家悪をどう脱構築していくかを言外に示唆している。 続きを読む

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第44回「SGIの日」記念提言を読む(上)

ライター
青山樹人

1983年から続く毎年の提言

 1月26日のSGI(創価学会インタナショナル)結成の日を記念して、今年も池田大作SGI会長の記念提言が発表された。
「平和と軍縮の新しき世紀を」と題した今回の提言では、21世紀の世界の基軸に軍縮を据える足場として、①「平和な社会のビジョン」の共有、②「人間中心の多国間主義」の推進、③「青年による関与」の主流化、を訴えている。
 また、核兵器禁止条約に各国が参加する機運を高める方途として、日本など有志国による「核兵器禁止条約フレンズ」の結成を提案。来年のNPT(核拡散防止条約)再検討会議を機に「高度警戒態勢」を解除し、国連で第4回の軍縮特別総会を開催することを提唱した。 続きを読む