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連載エッセー「本の楽園」 第16回 古本者

作家
村上 政彦

 古本屋――それは本好きが最終的に行き着くところ、ある意味で象の墓場のような場所である。
 僕の「古本屋」体験を語りたい。このコラムで「町の本屋」を取り上げたとき、僕の「本屋」体験を書いた。家の近くにあるS書房という小さな本屋へ通って、漫画を入り口として文学を読むようになった。S書房の文学の棚が、ほぼそのまま僕の部屋の本棚へ移った。 続きを読む

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連載エッセー「本の楽園」 第15回 本をつうじて見える20世紀の姿

作家
村上 政彦

 近年になって、だんだん街の小さな書店が減ってきている。多くの在庫を誇る大型書店を探索する愉しみも捨てがたいが、散歩がてら立ち寄ることのできる小さな書店が消えてゆくのはさみしい。
 この本の著者・長田弘氏も同じ気持ちだったのではないかとおもう。表題を『私の二十世紀書店』(※リンク先は1999年発売の『定本 私の二十世紀書店』)としたのは、

「私がこれらの本に出会った場所が街の書店においてだったからだ。本の自由というのは、自由な開かれた書店が街にあるということである」

という。この本には、街の書店への愛惜がこめられている。 続きを読む

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連載エッセー「本の楽園」 第14回 グローバリズムとローカリズム

作家
村上 政彦

 デザイナーとは、「問題を解決する人」と梅原真はいう。これはソーシャルデザインの考え方に近い。彼はデザインを通じて現実に働きかける。それは顧客に利益を与えるばかりか、社会の在り方を、ほんの少し変える。
『ありえないデザイン』は、梅原自身による梅原デザインの解説書だ。高知県に生まれて11歳で和歌山に移った彼は、地元の高校を経て大阪芸術大学をめざすが、学費が高いという理由で、大阪経済大学に入る。卒業後は高知に戻って、地元新聞社のグループ企業の、あるプロダクションに勤めた。 続きを読む

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連載エッセー「本の楽園」 第13回 休日の読書

作家
村上 政彦

 もともと勤勉な性格ではない怠け者なのに、貧乏暇なし、で働き過ぎたので、静養の日をもうけることにした。といっても、プライベートジェットで保養地に出掛けたり、五つ星ホテルで豪華なランチを取ったりはできない。身の丈に合った過ごし方をする。
 まず、昼近くまで寝て、たっぷりと睡眠を取る。起きたら、昨夜、妻に頼んでおいたので風呂が沸いている。湯の量は多めにしてある。浴槽につかったとき、溢れるぐらいが気持ちいいのだ。 続きを読む

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参院選で明らかになったこと――誰が何を煽り立てているのか?

ライター
松田 明

7割が「野党に魅力なかった」

 7月10日に投開票が行われた第24回参議院選挙。事実上、共産党が主導した初の「野党共闘」が注目されたが、結果は与党の圧勝に終わった。

 民進党など野党は参院選で、安倍政権の経済政策「アベノミクス」を失敗だったと批判した。しかし、自民党の得票率は、アベノミクスの「恩恵」が届いていない市町村でも2013年の前回参院選と大きくは変わらなかった。地方でもアベノミクスへの期待は根強いといえる。(毎日新聞7月12日朝刊)

 選挙前の各社調査でも有権者の関心は「経済」「医療・社会福祉」だったが、野党4党は争点を「憲法改正」「戦争法」などとして、国民の不安を煽る戦術に出た。 続きを読む