natukasi

連載エッセー「本の楽園」 第41回 なつかしい時間

作家
村上政彦

 先日、都内で開かれた、ある文学者の会に参加した。ちょっと風邪を引いていたのだが、これは僕が事務方を担っているので休むわけにいかない。その日は、もうひとつ別の文学者の会があって、これも僕が中核のメンバーの1人なので出ないわけにいかない。
 それは、まあ、いい。少しくらいの風邪なら、社会人はみんな無理して働いている。もっともこういうとき、無理をしないのが、僕のポリシーなのだが、仕方がない。物書きも社会人の1人だ。ただ、問題なのは、会から会までに2時間程の時間があることだ。
 女性ならウインドーショッピングをする。映画好きなら映画を観る。どちらでもない僕は、さて、どうしたでしょう? 続きを読む

ume

政権交代5年の明暗――「対決」の野党と「合意形成」の与党

ライター
松田 明

政権安定のカギは公明党

 2012年12月26日に第2次安倍内閣が発足して満5年。自公連立政権は6年目に入った。
 この間、いずれの選挙でも、とくに10代から30代の若い世代が顕著に与党を支持してきた。多様な情報をキャッチし、就職や子育てに直面する世代ほど、政権担当能力にシビアな審判を下し、自公政治の安定を望んできたといえる。 続きを読む

ICAN

ICANと創価学会――国際パートナーとしての関係をひも解く

ライター
松田 明

授賞式に招かれたSGI

 2017年のノーベル平和賞に、核兵器禁止条約の制定に向けたキャンペーンを展開し続けてきたICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が選ばれ、現地時間の12月10日、ノルウェーの首都オスロの市庁舎で授賞式がおこなわれた。
 式典には、ノルウェー・ノーベル賞委員会の招聘を受け、ICANの国際パートナーの一員として創価学会インタナショナル(SGI)の代表も列席した(創価学会公式サイト記事)。 続きを読む

hinonagori

連載エッセー「本の楽園」 第40回 カズオ・イシグロの世界

作家
村上政彦

 10月はノーベル賞が発表になるので、この数年、日本のメディアはにぎやかになる。村上春樹が文学賞を受賞するかどうか――僕の知っている著名な批評家は、何年か続けて発表の当日、某放送局で罐詰になっていた。受賞となったらコメントするためだ(今年は誰がその役を担ったのだろう。ご苦労様である)。
 そのとき、僕の家では夕食のテーブルを囲んでいた。高校生の娘がふとスマホを見て、「お父さん、カズオ・イシグロって知ってる?」と訊く。ああ、いい作家だよ、と応えたら、ノーベル文学賞らしいよ、という。 続きを読む

syokugyoL

連載エッセー「本の楽園」 第39回 グローバリズムのなかの日本文学・村上春樹の場合

作家
村上政彦

 2017年度のノーベル文学賞は日系イギリス人作家のカズオ・イシグロに決まった。TVのニュースでは、残念がるハルキストたちの姿が映し出され、ここ数年繰り返されている光景が見られた。
 村上春樹が国際的な作家としての地歩を築いたのは、この十数年ほどのことだろうか。僕が初めて彼の作品を読んだのは、いまから30年以上も前のことだ。群像新人賞を受けた『風の歌を聴け』という小説だった。 続きを読む