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沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流
第25回 沖縄尚学の試み

ジャーナリスト
柳原滋雄

沖縄空手を本格導入した私立校

 沖縄県の中学・高校に「沖縄尚学」というユニークな私立校がある。県内では文武両道の進学校として有名で、国内外への大学進学、高校野球やテニスなど多くのスポーツ分野でも全国的に名を知られる存在だ。
 この学校で、全校生徒に週1回(70分)の空手授業を義務づける試みをスタートさせたのは2007年から(当初は中学校のみ)。きっかけとなったのは、中学校の校長をつとめる名城政一郎(なしろ・まさいちろう)副理事長の海外体験だった。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流
第24回 沖縄県空手振興課長インタビュー(下)

ジャーナリスト
柳原滋雄

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第1回沖縄空手国際大会の教訓

――8月の国際大会は多くの教訓を残した大会だったと思います。どのように総括しておられますか。

山川哲男課長 私たちは今年8月の大会は、過去の大会と比べても成功したと思っています。世界50の国と地域から延べ3200人の空手家が集まったのは画期的でした。空手の先生方から言わせると、今回の大会のよさがSNSなどで広がったので、次の大会は1.5倍から2倍の参加者があると予測しています。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流
第23回 沖縄県空手振興課長インタビュー(上)

ジャーナリスト
柳原滋雄

 沖縄県庁に空手に特化した専門課が設けられたのは2016年4月。沖縄の特色ある文化の中で、一つの武術に着目した課の設置には注目が集まった。例えば青森県庁にも、りんご果樹課というその土地でしか見出せない専門課が存在するが、そうした中にあって、文化力の発信をめざす沖縄県の取り組みはかなりユニークだ。「空手振興課」の初代課長として尽力してきた山川哲男課長(53)に、これまでの歩みと今後の展望を聞いた。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流
第22回 競技分野の実績で抜きん出る劉衛流

ジャーナリスト
柳原滋雄

仲井間家に伝わった一子相伝の空手

 劉衛(りゅうえい)流という空手流派は、沖縄では多くの人に知られているが、日本本土では無名に近い存在かもしれない。ただ空手の世界大会(型部門)に出場する喜友名諒(きゆな・りょう 1990-)選手らの姿を見れば、多くの人はテレビ映像などで見たことがあると感じるだろう。 続きを読む

沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流
第21回 しょうりん流⑤ 首里・泊手としての松林流

ジャーナリスト
柳原滋雄

戦後の沖縄空手界を牽引した長嶺将真

得意技の北谷屋良のクーサンクーを演武する長嶺将真

得意技の北谷屋良のクーサンクーを演武する長嶺将真

 戦後の沖縄空手界をけん引した中心人物、長嶺将真(ながみね・しょうしん 1907-1997)の開いた流派である。
 長嶺は那覇商業時代に胃病を患い、1年ほど病床に臥せったが、友人の勧めで空手を始めるとめきめき健康を回復し、そのまま空手に打ち込む人生となった。
 沖縄の武人には、幼少期に体が頑健でなかったため、空手によって丈夫になった逸話が多く残されている。糸洲安恒、船越義珍、喜屋武朝徳、知花朝信など、いずれも同様の体験が伝えられる。 続きを読む