共産党が信用できないわけ③――「反対」だけで「実績」なし

ライター
松田 明

京都市長の嘆き

 鉄道ファンにはおなじみの京都鉄道博物館がある梅小路公園。京都駅から徒歩15分の立地にある同公園内に2012年に開業した京都水族館は、日本初の100%人工海水を使用した水族館だ。
 多くの水族館はタンクローリーで大量の海水を運んでいるが、内陸部の京都盆地にあるため、独自の人工海水製造システムを採用し、コストとCO2削減を実現している。
 だが、この水族館の設置に意見広告まで出して反対し続けた政党がある。日本共産党だ。

 共産党・京都市会議員団は、「京都に水族館は似合わない」と建設にとことん反対されました。生態系や自然について学ぶことの意義をいくら説明しても、まったく耳を貸されませんでした。なお、オープン後は大人気で、子どもをはじめ多くの人々の学びの場となっています。(『第三文明』2016年12月号)

こう語るのは、現職の京都市長・門川大作氏である。

 共産党は国立京都国際会館建設に反対され、近くは京都御所内の京都迎賓館建設にも反対。老朽化した京都会館は、今年1月「ロームシアター京都」として再オープンしましたが、これにも反対。1966年に成立した古都保存法にも反対でした。古都保存法は、京都の歴史的な景観保全に大きな役割を果たしています。この法律がなければ、例えば、大覚寺から嵯峨広沢にかけての素晴らしいエリアは宅地開発されていたでしょう。(門川大作・京都市長/同)

39年間も都予算に反対

 あれも反対。これも反対。この〝反対だけが実績〟とでもいうような日本共産党の姿は、国政でも、どこの地方自治体でも変わらない、同党の象徴的な体質である。
 郵便受けに投げ込まれる迷惑な同党のチラシには、毎度毎度、「ストップ!」「撤回を」「キッパリ反対」といった、おどろおどろしい見出しのオンパレード。
 建設的な議論で合意形成を図るのではなく、あえて人々の不安を煽り、不満に燃料を注ぐ。無理が通らないことを百も承知で、ひたすら抵抗する姿勢をアピールして支持を得ようというやり方は、民主主義そのものの否定であり、政治不信を増大させるだけだ。

「消費税増税反対」「民間委託反対」「職員の削減反対」「サービスは増やすべき」「負担は増やすべきでない」といった主張の繰り返しでは議論が深まらないのです。(門川大作・京都市長/同)

 京都だけではない。まもなく注目の都議会議員選挙がおこなわれる東京都でも同じだ。
 共産党が丸支えして東京都を財政破綻させた美濃部都政が1979年に退場すると、以後、彼らはかたくなに都の予算そのものに毎年〝反対〟し続けてきた。
 さすがの小池人気に便乗して、この2017年3月の予算案に39年ぶりに賛成したことそのものが、ニュースになったくらいだ。

〝実績〟だと語るペテン

 さて、ここで奇妙なのが、日本共産党が東京の各地で連呼している「都政の実績」である。
 同党は機関紙や都議会予定候補者の演説などで、あれも推進、これも実現、と盛んにアピールしている。
 だが、39年間も都の予算に反対しつづけてきたということは、その間、共産党が実現に協力した東京都の施策は皆無ということ。
 予算そのものに反対しながら「自分たちが推進・実現した」と言うのは、ペテンでしかない。
 元・日野市議会議員で、共産党のチラシやビラを徹底研究した『体験的日本共産党チラシの研究』(論創社)の著者・夏井明男氏は、東京都議会での事例を語る。

 象徴的な事例が、乳幼児医療の無料化制度です。これは公明党が熱心に取り組み、実現させた制度といってよいものです。
 ただし公明党も都議会全体から見れば、少数にすぎません。多くの市区町議員に納得してもらい、さらに他の政党や行政をも説得するなど、地道な作業を重ねて各地で予算化に結びつけてきたものです。これは文字どおり、正攻法の政策実現といえます。
 これに対し、共産党がとった行動は象徴的なものでした。医療費無償化がすでに予算化された段階になって、同党議員はほんの少しだけ関連する質問をします。それを踏まえて「自分たちがやった」とチラシに書きます。(『第三文明』2017年6月号)

 今年度、小池都政で都議会公明党が実現させた「私立高校授業料の実質無償化」についても、日本共産党は〝議会で17回質問したから共産党の実績〟と強弁している。
 ちなみに、この授業料無償化は、すべての全国紙も東京新聞も〝公明党と知事で話がまとまった〟と報道しており、事実は隠しようがない(「前掲コラム」参照)。

お引き取り願うのはデマ政党

 ところで、何の気の迷いか(笑)39年ぶりに2017年度予算に賛成してみせたことで、日本共産党は掘らなくていい墓穴を掘ってしまった。
 4月17日、東京演説会に登壇した志位委員長は、こう語った。

 それでは自民・公明はどうか。都政の「逆立ち」をもっとひどくするとんでもない大暴走をしようとしています。東京外環道路の問題です。
 東京外環道路は地上道路を含め、多数の住民の立ち退き、環境破壊、莫大な税金投入につながる不要不急の高速道路です。(『しんぶん赤旗』4月19日)

 こんなところにお金をじゃんじゃん注いでいたら、福祉と暮らしに使うお金はなくなってしまいます。都民の暮らしそっちのけ、救いがたい“巨大開発病”にかかっている自民・公明には、お引き取り願うしかありません。(同)

 じつは都議会共産党が〝賛成〟した東京都の2017年度には、この外環道整備費に295億円が計上されている。
 それに自分たちも賛成したわけだから、今や都議会共産党は、彼らが「逆立ち都政」「巨大開発病」と罵る〝外環道推進派〟なのだ。
 その上で先の志位氏の発言をもう一度読むと、まことに味わい深いものがある。お引き取り願わねばならないのは、平然と有権者をあざむくデマ政党だろう。
 それだけではない。この2017年度予算には、同党が一貫して批判し反対し続けてきた「米軍横田基地の軍民共用化の推進」も「江戸川などのスーパー堤防の整備」も盛り込まれている。
 これまでさんざん「破綻が明らか」「無謀な計画」と悪態を並べて反対してきた経緯と、コロリと賛成に回った今年。いったいどのように支持者や有権者に弁明できるのか。
 日本共産党とは、こういうことを平気でやれる政党なのである。

「共産党が信用できないわけ」シリーズ:
共産党が信用できないわけ①――なぜ公安当局は監視するのか
共産党が信用できないわけ②――まやかしの〝護憲〟ポーズ
③共産党が信用できないわけ③――「反対」だけで「実績」なし
共産党が信用できないわけ④――デマを繰り返す謀略体質

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