【コラム】イスラエルとパレスチナ。そして私たち自身の隣人へのまなざし――【映画】『もうひとりの息子』

ライター
青山樹人

※このコラムには、2013年10月19日公開 映画『もうひとりの息子』のストーリーなど内容についての記述があります。

外形で区別できないユダヤ人とパレスチナ人

 2013年10月から日本でも封切られた映画『もうひとりの息子』は、2012年の東京国際映画祭で、審査員全員一致のグランプリと最優秀監督賞をダブル受賞した話題の作品だ。
 監督と脚本を手がけたのはユダヤ系フランス人のロレーヌ・レヴィさん。彼女自身のアイデンティティともかかわりのあるイスラエルとパレスチナの根深い対立を題材に、普遍的な共感と希望の予感を覚えさせる物語を描いて絶賛を浴びた。
 イスラエルとパレスチナの問題は、とりわけ私たち日本人にはよく理解できていないことが多い。 続きを読む

若者の暮らしと未来を守る年金制度を考える

岡山県立大学教授
増田雅暢

 貧困や雇用の問題など時代の変化に不安を覚える若者は多い。一方だからこそ、「しっかり年金の保険料を納めていくべき」と考える人がいる。行政経験を生かし、実践的な教育を行っている増田雅暢氏に〝年金の今〟を聞いた。

年金制度は破綻しない

 65歳以上の高齢者人口が3000万人を突破し、今ほど年金制度に対する国民的関心の高い時代はないと思います。その一方で、年金の仕組みが国民に正しく理解されていないために、「将来、年金制度がなくなってしまうのではないか」といった破綻論が世の中にはびこっています。
 その最たるものが「未納率」の問題です。 続きを読む

【コラム】「隣国による離島の脅威」を煽るキャンペーンの実態

ジャーナリスト
柳原滋雄

「防人の島」の危機?

 ある全国紙(産経新聞)が「対馬が危ない!」と題するキャンペーンを始めたのは、今からちょうど5年前の2008年10月だった。
 対馬は九州と韓半島の間の玄界灘に浮かぶ、長崎県に属する国境の島である。その対馬に韓国から大量の観光客が押し寄せ、島の土地を韓国人がどんどん買い占めていると警鐘を鳴らす内容で、対馬がまるで韓国に乗っ取られかねないかのようなトーンで書かれていた。 続きを読む

【コラム】「異教」のなごり――異なる者への敬意が多様性の花を咲かせてきた

ライター
青山樹人

日本史に入り込んだヘラクレス

 クリスマスはキリストの降誕を祝う祭祀だが、じつは新約聖書にはその具体的な「日付」がいつだとは出てこない。それで12月25日がクリスマスになったのは、キリスト教が小アジアに伝播していく途中で、おそらくそれらの地域にあった冬至の祭祀と習合していった結果だろうといわれている。 続きを読む

人口減少社会という希望

千葉大学教授
広井良典

すでに始まった人口減少社会をどう捉えていけばよいのか。日本の未来に向けての新たな視点を語る。

本当の豊かさへの転機

 日本の人口は江戸時代後半、3000万人強でフラットな推移をしていました。それが明治以降、急激に人口が増加し、急勾配のまま伸び続けていきました。そして2004年に1億2784万人に達し、そのピークを迎えます。 続きを読む