沖縄伝統空手のいま~世界に飛翔したカラテの源流
第22回 競技分野の実績で抜きん出る劉衛流

ジャーナリスト
柳原滋雄

仲井間家に伝わった一子相伝の空手

 劉衛(りゅうえい)流という空手流派は、沖縄では多くの人に知られているが、日本本土では無名に近い存在かもしれない。ただ空手の世界大会(型部門)に出場する喜友名諒(きゆな・りょう 1990-)選手らの姿を見れば、多くの人はテレビ映像などで見たことがあると感じるだろう。 続きを読む

出入国管理法改正案——責任ある議論を望む

ライター
松田 明

論戦の場は参議院へ

 11月30日、「労働力調査 平成30年10月分」速報値が発表された。
 就業者数は6725万人で、前年同月に比べ144万人増加。雇用者数は5996万人で、前年同月に比べ119万人増加。いずれも70ヵ月連続の増加である。
 このうち正規の職員・従業員数も前年同月より37万人増加で、47ヵ月連続増加。
 一方、完全失業者数は163万人で、前年同月に比べ18万人減少。101ヵ月連続の減少となった。
 安倍政権が自民党と公明党の安定した連携のもとで、経済政策の着実な成果を上げていることは、ひとまず数字のうえでも明らかである。
 国民の実感が概ねこれを認めていることは、各社の調査で内閣支持率の好転が続いていることにも見て取れるのではないか。 続きを読む

混沌の魅力 ―― インド・バラナシを訪問

フリーライター
藤澤 正

 公開中のインド映画『ガンジスに還る』(公式サイト)の舞台となったことで、再び熱い視線を集めているバラナシ――。この地を舞台にした日本の文学作品といえば、三島由紀夫の『豊饒の海』、遠藤周作の『深い河』、沢木耕太郎の『深夜特急』が有名だろう。むしろ日本においては多くの場合、バラナシという地名はこれらの作品を通して知られているはずだ。バラナシという名前こそ知ってはいるものの、実際に足を運ぶ人はそう多くはないと思う。(写真:日の出とともに沐浴をする人々) 続きを読む

ナショナリズムを超克する価値観を――書評『北東アジア市民圏構想』

ライター
本房 歩

激動した北東アジアの1年

 2018年は、北東アジア情勢がひときわ大きく動いた年として歴史に記憶されるだろう。
 北朝鮮のミサイル実験が執拗に繰り返され、日本の各地でもJアラート(全国瞬時警戒システム)による避難訓練が続くなかで、年が明けた。
 米国本土に到達するICBMが完成するまでに、トランプ政権が北朝鮮を奇襲攻撃・制圧するのではないかという観測もあった。
 ところが、2月9日から韓国ではじまった平昌(ピョンチャン)オリンピック冬季競技大会に、北朝鮮は選手団を派遣。金正恩(キム・ジョンウン)委員長の妹である金与正(キム・ヨジョン)氏が訪韓して〝ほほえみ外交〟を展開する。
 統一旗のもとに南北合同チームが熱戦を繰り広げたことは、韓国世論、とりわけ若者たちの意識を変えた。 続きを読む

連載エッセー「本の楽園」 第63回 がんばれ! 町の本屋さん!

作家
村上政彦

かつてこのコラムで町の本屋について取り上げた。僕は実家の近所にある小さな本屋で文学と出会って小説家を志した。もし、この本屋がなければ、僕の人生は違ったものになっていたかも知れない、と書いた。
その後、僕はふとあることに気づいた。読書をするとき、手に取る本は、本を扱う人々についてのものが結構あるということだ。どうかすると、本業の小説についての本よりも、そっちのほうに関心を惹かれている。 続きを読む