投稿者「web-daisanbunmei」のアーカイブ

三代会長が開いた世界宗教への道⑤――世界宗教へと飛翔する創価学会

ライター
青山樹人

新しい世界秩序を求めて

 それまでの冷戦構造が崩壊した1990年代以降、人類は新たな秩序を求めていた。世界の多極化とアイデンティティの揺らぎは、いたるところにナショナリズムや民族主義の不穏な火を放ちはじめていた。
 世界の指導者たちは池田先生との対話を求めた。90年代の10年間に会見した国王、大統領、首相だけで40人に及ぶ。
 また世界各国の著名な学識者たちは競うように池田先生の著作を読み、各国を代表する最高峰の大学や学術機関が講演を要請した。90年代に実現した講演だけでも次のとおりである。 続きを読む

三代会長が開いた世界宗教への道④――法主が主導した第2次宗門事件

ライター
青山樹人

西方出張所に集まった7人

 1990年3月。宗門は学会との相談なしに、いきなり法務に関する料金の値上げを発表した。本尊下付の2000円を3000円にしたほか、塔婆供養の冥加料を1000円から2000円に、大過去帳のそれを5万円から10万円にするという、2倍もの値上げだった。
 じつは、前年の3月に宗門は冥加料の値上げを打ち出そうとした。この時は、消費税導入の直後でもあり、便乗値上げと誤解されかねないと学会が難色を示した。すると宗門は、「じゃあ結構です」と値上げそのものを引っ込めた。そして1年後、今度は一方的に値上げを決定し、学会には事後通告してきた。
 この1990年は、大石寺の開創700年にあたっていた。
 学会では信徒の誠意として、この佳節を最大限に奉祝すべく、法華講総講頭でもある池田先生以下の首脳陣が陣頭に立って、委員会をつくり準備にあたってきた。静岡県男女青年部は大客殿前広場での慶祝記念文化祭を準備し、9月の開催に向けて、猛暑の季節、連日の練習に励んでいた。
 こうした学会員の宗門に尽くす真心の裏で、信じられない謀略が進められていた。 続きを読む

三代会長が開いた世界宗教への道③――第1次宗門事件の謀略

ライター
青山樹人

妙信講の異常な主張

 大恩ある創価学会とその指導者に対し、あろうことか不満や敵意を抱きはじめた日蓮正宗の出家たち。この宗門内部の微妙な変化を最大限に利用したのが、のちに創価学会を恐喝して懲役3年の実刑判決を受け服役した山崎正友だった。
 創価学会学生部出身者として第1号の弁護士になった山崎は、1970年から学会の顧問弁護士を務めていた。
 じつは大石寺に正本堂の建設が進んでいたこの時期、日蓮正宗内に厄介な問題が起きていた。当時、ごく少数の組織ながら独自の「講」として宗内に存在していた妙信講なる一派が、憲法を改正し、国会の議決をもって建設される「国立戒壇」こそが日蓮大聖人の遺命であると主張しはじめたのだ。
 正本堂を「本門戒壇」と意義づけたのは、創価学会ではなく日蓮正宗である。
 1965年9月12日、宗務院は「大聖人の御遺命にしてまた我々門下最大の願業である戒壇建立、広宣流布のいよいよ事実の上において成就されることなのであります」との「院達」を宗内に発している。日蓮正宗が出した供養の趣意書にも「正本堂建立は実質的な戒壇建立」と明記されていた。 続きを読む

三代会長が開いた世界宗教への道②――嵐のなかで世界への対話を開始

ライター
青山樹人

解散総選挙に合わせた出版

 1969年の暮れには、第32回衆議院選挙が予定されていた。
 8月になると、当時、保守派の論客として名を売っていた藤原弘達(ふじわら・ひろたつ)が『創価学会を斬る』と題する本を出版するという予告ポスターが大々的に出た。
 藤原の本は、大上段に構えたタイトルとは裏腹に、歪んだ憶測や風評を並べ、学会員とりわけ婦人部を侮蔑するような内容に満ちたものであった。創価学会本部に対する一片の取材もおこなわないまま、部下に口述したものを出版社にまとめさせるという安易なもの。評論家の大宅壮一は、
〈きわめてぞんざいな方法である。これではキワモノ出版といわざるを得ない。〉(『現代』70年3月号)と、痛烈に非難している。 続きを読む

芥川賞を読む 第17回 『家族シネマ』柳美里

文筆家
水上修一

映画という虚構の中で、家族の実像を浮かび上がらせた

柳美里(ゆうみり)著/116回芥川賞受賞作(1996年下半期)

舞台を観ているような展開

 第116回の芥川賞は2作品が受賞。柳美里の「家族シネマ」と辻仁成の「海峡の光」だ。いつも手厳しい石原慎太郎もこう述べている。

箸にも棒にもかからぬような候補作とつき合わされる不幸をかこつこともままあるが、今回はどの作品も一応は読ませてくれた

 今回はまず柳美里の「家族シネマ」を取り上げる。受賞時は28歳。27歳の時にすでに「フルハウス」と「もやし」でそれぞれ113回と114回の芥川賞候補となっている。また、「フルハウス」は第24回泉鏡花文学賞と第18回野間文芸新人賞を受賞していて、その実力は折り紙付きだった。 続きを読む