連載エッセー「本の楽園」 第27回 まっとうに苦しむこと

作家
村上 政彦

 アウシュヴィッツ駅に到着すると、輸送されて来たユダヤ人は一列に並ばされた。その先にはナチスの将校が立っていて、優雅な仕草で右手の人差し指を左右に動かし(たいていは左に)、人々を選別していた。
 右に振られた者は右へ流れ、左に振られた者は左に流れる。フランクルが緊張していると、人差し指の動きが止まり、あちこち体を調べられ、あらためて右へ振られた。彼が人差し指の動きの意味を知ったのは夜のことだった。 続きを読む

小池新党と都議会公明党が選挙協力へ――「改革」の成否は公明党が完勝するかどうかに

ライター
松田 明

「改革の方向性が完全に一致」

 高い支持率を追い風に「都政改革」を進めようとする小池百合子・東京都知事。
 この7月2日の都議会議員選挙に向け、政治塾「希望の塾」を立ち上げるとともに、事実上の〝小池新党〟である地域政党「都民ファーストの会」(代表の野田数<かずさ>氏は小池知事の特別秘書)で、都議会の過半数獲得をめざすとしている。 続きを読む

日本社会の動向を決する公明党と創価学会――書評『佐藤優の「公明党」論』

ライター
松田 明

公明党と他党の本質的な違い

 今や日々の新聞、テレビ等の報道で「公明党」の3文字の登場しない日はない。むろん公明党が政権与党の連立パートナーだからではあるが、それでもわずか10年前には考えられなかったことだ。
 国政ならずとも東京都議会を見ていてもわかるように、つまりそれだけ、公明党がどのように判断し、対応するかが、日本社会の動向を決するうえで無視できない影響力を持つようになっているのである。 続きを読む

「公明党案」で可決した議員報酬削減――都議会、政務活動費も減額し「全面公開」へ

ライター
松田 明

全会一致で条例可決

 過日、「私立高校授業料の実質無償化」を勝ち取ったばかりの都議会公明党が、ヒットを打ち続けている。
 2月22日、東京都議会第1回定例会の本会議が開かれ、議員報酬の20%削減などを盛り込んだ条例が全会一致で可決した。 続きを読む

ポスト・トゥルース時代の政治の行方

東京工業大学准教授
西田亮介

ネット普及が政治に与える影響

 2016年を象徴する英単語として、オックスフォード英語辞典は「POST-TRUTH」(ポスト・トゥルース)という単語を選びました。あえて意をくんで訳すならば「客観的な事実が重要視されない時代」という意味になるでしょうか。日本の社会や政治も、この「POST-TRUTH」とは無関係ではないと思います。
 私たちが普段接している情報は少なからず「POST-TRUTH」的な面を含んでいます。 続きを読む