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呆れた民進党の「解党」――「選挙互助会」渡り歩く人々

ライター
松田 明

代表就任4週間で解党

 私は、今までの議員生活の全てを投げうって、心ある同志と共にもう一度この民進党を、国民の信頼感を取り戻し、われわれの政策に耳を傾けていただき、この人たちに任せていただこうという党に再生をさせることが、私の最大の責務であり、今までの政治生活の全てを投げうって、その、党再生のために努力をしていきたい(前原氏発言ママ)

 民進党の代表選挙に出馬した前原誠司氏がこう語ったのは、8月7日のことである。
 そして、9月1日の代表選で前原氏は民進党の新代表に就任した。
 だが、わずか4週間後の9月28日、民進党は常任幹事会で事実上の「解党」を決定した。
 党所属の衆議院議員らの公認を取り消し、希望の党に頭を下げて立候補者の申請をする。民進党としての比例代表名簿も作らず、いずれ参議院議員も希望の党に合流させるという。
 議員生活のすべてを投げ売って民進党を立て直すと宣言した当人が、代表に就任した月のうちに、野党第一党の民進党を投げ売りしてしまったのだ。

 この後の両院議員総会で前原誠司代表は希望の党との合流を提案した。民進党内では、新党の「顔」として小池氏への衆院選出馬待望論が高まった。(共同通信47ニュース/9月28日

 あまりにも有権者をなめた、軽すぎる二枚舌の茶番劇ではないか。

代表選挙は何だったのか

 ニュースキャスター出身の小池都知事は、おそらく今の日本の政治家で、もっとも〝テレビの使い方〟を熟知した1人だろう。
 どういう場面で、自分がどんな表情をして、どんな言葉を発すれば、テレビがどういうふうに切り取るか。〝劇場化〟を生み出す勘どころの巧みさで、小池氏の右に出る政治家はいない。
 そのポピュリストの小池氏が大道芸の手品のように「希望の党」代表に就任した途端、民進党は浮足立ち、前原代表が「最大の責務」とまで言っていた「党の再生」どころか、党を二束三文で売ってしまったのだ。
 今さら「どんな手段を使っても安倍政権を止める」などと言い訳がましく大見得を切ったところで、結局、民進党は行き詰るところまで行き詰って瓦解し、恥も外聞も捨てて党首自ら泥舟を捨てたに等しい。

 民進党の代表選とは一体何だったのか?(津田大介氏のツイート/9月27日

 このため息は、多くの国民の呆れた気分そのものだろう。

新たな「選挙互助会」へ

 小池氏は民進党など他会派から合流を希望する場合の「踏み絵」として、「安全保障」と「憲法改正」を挙げた。
 だが、安全保障政策をどうするのか、憲法を具体的にどうするのか、そこはまだ何も見えていない。
 そもそも民進党の前身である民主党そのものが、小選挙区制度の導入のもとで、自民党から出馬できず、あるいは無所属や弱小野党からの出馬では勝ち目のない人たちを拾う「選挙互助会」だった。
 国家観や政治理念などバラバラ。もっといえばそもそも政治家としての資質の有無さえわからない。そうした有象無象たちがメディアの煽る「二大政党の対決」という魔法ワードに便乗して、民主党としてバッジをつけた。
 だが、議員の理念や支持勢力がバラバラな上、民主党そのものが具体的な政治ビジョンを持たず、単に「政権奪取」を目的とした党に過ぎなかったために、政権の座に就いた瞬間から内部で権力争いに明け暮れ、用済みになった人間は放り出されてしまう。
 その後の民主党政権下では、政権担当能力の欠如を露呈し、あれほど良好だった日中関係が〝国交正常化以来最悪〟の一触即発状態になった。東日本大震災の対応は後手後手に回り、雇用も経済も回復しないまま、わずか3年余で国民はこの政党に見切りをつけた。
 2012年に下野したあと、代表の顔が変わっても民主党の支持率は一向に伸びず、維新系の議員を吸収して民進党に看板を替え、蓮舫氏を代表にしてもダメ。
 その間、共産党に好きなだけ食いものにされたあげく、前原氏が代表になるや4週間で「解党」である。
 彼らは所詮、自分の選挙が第一で、沈む泥舟を捨て希望の党という新たな「選挙互助会」に、文字通りの呉越同舟で飛び移ろうとしているに過ぎない。
 もし権力の座に就けば、その途端にまた内紛と粛清に明け暮れることになる。

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