ネットワーク政党の強み――高まる公明党への期待

ライター
松田 明

市町村議員数トップは公明党

 政治というと、ともすれば「国政」ばかりにメディアの焦点が当たりがちだが、議員の数で見れば「地方政治」のほうが大きい。
 なにより、国民1人1人の声や個別の地域の声を政治に反映させ、国政を地域・地方から下支えするという民主主義のあるべき姿から見ても、「地方政治」はきわめて重要なのである。
 そして、こうした「国」と「地方」の全体の視野で政党の力量を見ると、単なる国会での議席数とは違った姿が見えてくる。
 たとえば、人々の暮らしの現場にもっとも近い市区町村議会議員の数は、こんな具合だ。

公明党       2735人
日本共産党     2605人
自由民主党     2009人
民進党        698人
諸派         510人
社会民主党      244人
日本維新の会      50人
立憲民主党        2人
自由党          2人
無所属      21246人
総務省「報道資料」平成30年3月30日

 これに都道府県議会議員を足すと、自由民主党が3275人、次いで公明党が2941人となる。
 一方で、テレビでは派手にパフォーマンスを見せていても、実際の国民の暮らしの現場では機能していないに等しい政党や、住民の声に耳を傾けるには能力が程遠い政党があるのもわかる。

地域に足場がない旧民主系

 たとえば公明党は、2018年4月から3カ月間で「100万人訪問・調査」を実施して結果をまとめた。他の政党にはマネのできない仕事だ。
 公明党には党員だけでなく、選挙のたびに支援を惜しまない創価学会員の存在がある。学会員は老若男女、社会のあらゆる立場や職種にいる。特定の業界の労組などの利害に偏ることがない。
 それらの多様な人々が、日々の暮らしや共同体での課題などを身近な市区町村議員に伝えている日常は、逆に見ればそれだけの膨大な「虫の目」の課題発見能力を公明党が持っているということなのだ。その姿そのものが民主主義の理想を具現化している。
 一橋大学大学院教授の中北浩爾氏(日本政治史)は、

 これほど国会議員や地方議員が現場に足を運び、有権者の声に耳を傾けている政党はない。一方、旧民主党系の野党は、地域に足場がないことが決定的な弱点となっている。(『公明新聞』1月28日付)

と述べている。
 日本共産党は地方議員数では2754人いるものの、政権を獲って働いた経験が皆無なうえ、そもそも「対決」「きっぱり反対」だけで党勢を維持しているので、現場の声を国政に反映させることができない。
 立憲民主党など旧民主党系の政党は、地域の現場ではポスターは貼ってあれども議員の姿が見えない。

公明党だけが持つ機能

 国と現場を往復し、国政と地方をつなぐ政治ができる政党は公明党しかありません。自民党にも市町村議会の議員はいますが、ほとんどが保守系無所属です。しかも派閥によって分かれていたりしますから、ネットワーク政党として国政と地方政治が一体になった活動は難しいでしょう。津々浦々で現場の声を聞き、着実に政治に反映させる。これは日本政治のなかで、公明党が唯一もつ貴重な機能だと自負しています。(山口那津男代表の発言。田原総一朗氏との対談で/『潮』1月号)

 この山口代表が指摘した自民党地方議員の実態は、見落とされがちだが事実である。議員数では公明党を上回っていても、構造的に国会議員を親分に担ぐピラミッド型なので派閥間の対立がしばしば起き、市町村議員が即座に国会議員と連携して動くということがなかなかできない。
 社会活動家であり法政大学教授を務める湯浅誠氏は、

 公明党とは、生活困窮者問題で2007年以来の関わりがある。福祉分野における政策課題は、やはり公明党が頼りになる。
 最近も公明党の頑張りで、19年度の与党税制改正大綱に未婚のひとり親の税負担軽減策が盛り込まれた。貧困問題に取り組んできた一人として感謝している。(『公明新聞』1月30日付)

としたうえで、

 公明党は足腰が強く、地域に根を張り、国と地方のコミュニケーションが非常に円滑だ。「福祉の党」として積み上げてきたノウハウも備えている。(同)

と、そのネットワーク政党としての唯一無二の強さに言及している。
 公明党には「地方と国」の関係、「国政」の与党協議という、二重の合意形成能力がある。他の政党にはこれがない。

地方の首長の実感

 地域社会の〝小さな声〟もきちんと拾って即座に国と連携する公明党のネットワークの力を、一番実感しているのは地方の小さな自治体の首長たちかもしれない。
 宮崎県都農町(つのちょう)は、今の河野正和町長が就任した2007年、県下で最下位の町民所得だった。もともと行政マンだった町長はさまざまな改革を断行し、「道の駅つの」を開業。さらに魅力あるふるさと納税に取り組んだ結果、2017年には全国2位の79億円の寄付額を得るまでになって、将来の財源を確保している。

 私は長らく行政に携わってきたので、公明党の議員の方々ともさまざまな仕事をして参りました。公明党の皆さまの仕事ぶりを拝見していると、「大衆とともに」との理念のとおり、本当に住民のことを考えて、汗を流されていると感じています。
(中略)
 今後、政権内での公明党の役割は、さらに重要になってくるでしょう。これは政治家である私の率直な感想です。今、地方行政はどこも本当に厳しい。だからこそ、公明党の偉大さがわかるのです。(河野正和町長/『潮』3月号)

 こうした地域の課題解決に地道に取り組む政党がある一方で、なにもかも「安倍政治にNOを!」などといった空疎なイデオロギー対決の〝空中戦〟に利用する政党もある。
 住民自身が自分たちの暮らしの課題を解決していく。そのために真剣に働き成果を上げられる政党と議員を住民が育てていく。
 統一地方選挙は、私たちが生活の場から政治を動かしていける重要なチャンスなのである。

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