〝国民〟不在の国民民主党――あまりに節操がなさすぎないか

ライター
松田 明

半年で政党を放り投げる

 昨年(2017年)9月末、解散総選挙の渦中にあっけなく〝空中分解〟し、袂を分かった民進党と希望の党が、「国民民主党」と看板を替えて再び新党を結成する。
 支持率の低迷に焦って分裂し、わずか半年で、今また支持率のさらなる低迷に焦って合流する。
 もはや国民の関心も期待も低く、ニュースでの扱いもわずか。皮肉なことに「国民党」と「民進党」という二大政党が睨み合う台湾では、「民進党」が「国民民主党」に衣替えしたことについて〝まるでブラックジョークだ〟というような反響が大きかった。
 希望の党に所属する長島明久氏は、

 総選挙で1000万近い有権者から票を投じてもらったのに、半年足らずで放り投げてしまうのは筋が立たない。(毎日新聞/4月26日)

と、この新党への不参加を表明。同じく細野豪志氏も、

「安全保障を現実的にやり、9条も含めて憲法改正を議論する」という希望の党の旗印を降ろす選択肢はあり得ない。(毎日新聞/4月3日)

と、早々に不参加を表明している。

選挙対策優先の〝復縁〟

 野党第一党だった旧民進党が無残にバラけてしまった最大の理由は、共産党との野党共闘を続けたことにある。
 政権交代をめざすと言いつつ、国家観も憲法観も安全保障政策もまったく相いれない共産党と蜜月を続ける姿は有権者の信頼を得られず、支持率は〝消費税より低い〟と揶揄される低迷を続けた。
 長島氏や細野氏ら現実的な政策を志向する党内の保守派は、もはや党を見切るほかなかったのである。
 その旧民進党で野党共闘を推進した元代表の岡田克也氏もまた、今回の新党への不参加を表明。
 結局、新たに結党する国民民主党は衆議院で野党第一党に届かない情勢になった。
 たとえば京都新聞の社説は「国民民主党 何を目指す新党なのか」と題して、手厳しく批判している。

 基本政策では、安全保障関連法で違憲と指摘される部分の白紙撤回を含む見直しや、憲法条文の恣意(しい)的な解釈変更を許さないなど安倍政権へ対抗する姿勢を打ち出している。ただ、それ以外の分野で何をしたいのかは明確でない。(4月26日社説)

 新たな仲間割れすら意に介さず新党結成を急いだ背景についても、

 新党結成は、来年の統一地方選や参院選を控えた民進の地方組織が抱える不安を背景に、最大の支援組織である連合が促してきた面がある。選挙対策の都合が先行している感は否めない。(同)

と冷ややかに見ている。
 選挙対策優先で何を目指すのかもよくわからない新党結成。よくわかったのは、彼らが国民との約束も、託された票の重みも、さして重要だと考えていないらしいことだ。
 さて、今度の新党はいつまで仲良くやれるのだろうか。

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