西安」タグアーカイブ

葦の髄から時評vol.11 名も知らぬ人々との出会い――西安から敦煌へ、真冬の中国を往く

ジャーナリスト/編集者
東 晋平

敦煌魔鬼城

 私たちは3時間近くも砂漠の真ん中で取り残されていた。外気温はマイナス20度。周囲は見渡すかぎり荒涼とした岩砂漠が続く「ゴビ灘」である。
 2014年12月下旬、2人の青年と一緒に2週間をかけて中国を旅した。北京から西安、さらに甘南チベット自治州夏河県、蘭州、敦煌と奥地に入っていく。西安を発つ未明にひどい風邪をこじらせ、その身体で標高3200メートルの夏河に入り、長距離バスで蘭州に下り、夜行列車で極寒の敦煌に至るという過酷な日々だった。 続きを読む

葦の髄から時評vol.10 秘儀としての漢字――中国史に流れ続ける〝宗教的なもの〟

ジャーナリスト/編集者
東 晋平

姿を現した幻の地下宮殿

 1974年3月のこと。中国陝西省西安市の郊外で井戸を掘っていた農夫の鍬が、何か硬いものにぶつかった。土の中から出てきたのは、武具をつけた兵士の等身大の俑(よう)であった。俑とは、墓に副葬する人形のことである。 続きを読む