100万部超の人気を誇った学習参考書
著者の鈴木将史氏は数学者であり、2022年から2025年まで創価大学の学長を務めた。現在は同大学顧問であり教授である。
1930(昭和5)年6月に出版された『推理式指導算術』は、そこから11年間も版を重ね、累計100万部を超す異例のミリオンセラーとなった。
最終版は1941(昭和16)年8月10日で、じつに「改版改訂126版」となっている。圧倒的な人気を博したことがわかる。
この『推理式指導算術』は当時の中等学校(中学校・高等女学校・実業学校の総称)の受験をめざす小学生の自習のために書かれた書物だった。今でいう受験参考書である。
21世紀の初めごろまでは、年配の学識者や財界人のなかにも、この本のおかげで数学が好きになってずいぶんと助けられたと語る人が珍しくなかったほどだ。 続きを読む